日産リーフからフィアット600eに乗り換えてわかったEVの進化【初めて輸入車オーナーに】
公開 : 2025.12.01 17:05
これまで、2011年からZE0型24kWh、30kWh、ZE1型40kWhと、14年間日産リーフに乗り続けたオーナーによるEVライフ・レポート。今回より、新しい愛車フィアット600eをレポートしていきます。
日常生活の使用での新たな気付き
新たに愛車として迎えたフィアット600eが標榜しているコンセプトは『甘い生活 Dolce Vita(ドルチェヴィータ)』。最初、その意味は良く分かりませんでした。しかし、今は少し理解できたのではと感じています。
実際に600eで日常生活を過ごすと、その快さは今までとは異なったものになっていました。

運転席に座った時の景色は、クルマの無機質な操作パネルではなく、デザインされた部屋のインテリアのように感じ、見ているだけでとても心満ち足りた気分になります。エアコンやドライブ操作の可愛い感じのスイッチは、そのデザインの中に溶け込んでおり、機械的な物の存在にはなっていません。
さらに、自然なアクセルレスポンスと軽妙なステアリングとが相まって、最初に試乗した時の感動が日常生活にももたらされました。これは多分、サスペンションの乗り心地の良さも寄与しているのではと思います。
試乗時に、音響の良さも確認しています。600eの詳細説明書を読んだところ、音響空間はJBLシステムによって構成されているという記述があり、納得でした。自宅のリスニングルームでも20年前からJBLのスピーカーを使っており、これはボーカルの定位の良さから購入したものです。映像ディスプレイの鮮明さもあり、帰宅時、車内でそのままコンサートなどの音楽を聞き続けたくなるような気持ちになることもありました。
街乗りの軽快さは期待通りで、日常生活で毎日クルマを使うライフスタイルに合っています。クルマ社会の甲府はイタリアの市街地と同じなのか、コンパクトEVとしての完成度の高さを感じました。
600eの運転モードは、スポーツ、ノーマル、エコがあります。その切り替えスイッチはシフトレバーの位置にあり、運転ポジションのまま視線を変えることなしに操作できます。クルマによっては、この運転モードのスイッチが順送りの選択になっていますが、このフィアット600eでは、前、中央、後ろの選択でダイレクトに選びことができ、操作性は良いです。
実際の走行により航続距離を推定
埼玉県の大宮へ600eで行くことがあり、実際の走行データを取ることができました。甲府の自宅をバッテリー100%で出発し、勝沼インターから中央自動車道へ。高速道路での加速感は日産リーフとほぼ同じですが、走行の安定感はワンクラス上の印象でした。
また、山越えの起伏のある高速道路なので長い下り坂は多くあり、コースティング走行できると爽快です。しかしながら、600ハイブリッドではその機能はあるものの、600eは『N』レンジでは走行しないようにと取説で警告されており、使えません。なお、リーフでもそのような走行モードはありませんでした。

勝沼インターから約82km走り、東京の調布インターで降り大宮へ向かいました。途中、西東京市の保谷でコインパーキングを利用しましたが、600eの全幅は1800mm未満の1780mmであり、コンパクトEVの強みで、平置きならほとんどの駐車場が利用可能です。
保谷からは約20km一般道を走り、大宮駅前のパレスホテル大宮に到着しました。ここまで、走行距離137km、バッテリー残量71%、平均電費9.1km/kWh。大宮の標高は甲府より250mほど低いので、良好な電費になっています。
翌日同じ道を帰り、帰宅時は、総走行距離275km、バッテリー残量36%、平均電費8.4km/kWhとなっていました。ここから推測できる一充電の航続距離は429km、バッテリー容量の実効値は51kWhとなります。スポーツモードで走行した高速道路が6割程あったので、ほぼ想定通りの結果です。
これだけの航続距離と高速道路での安定した加速性能があると、街乗りだけでなく、遠出も良好だと思いました。ただ、今回は秋の良い季節でエアコンの使用はありませんでしたが、これから迎える寒い時期や真夏になると、もう少し厳しい数値になると思われます。
ちなみに、リーフの新車時に実測したバッテリー容量の実効値は約34kWh。また、WLTCの航続距離も600eの493kmに対しリーフが322kmと、どちらも約1.5倍になっており、後継EVの目標とした30%増をはるかに越えています。
