三菱自動車ら5社が日本初、家庭向けV2G&V2H実証開始!再エネ×電動車の可能性は?【自動車ニュースを読む】
公開 : 2025.12.02 12:05
毎日のように発信されるプレスリリースの中から1本をピックアップし、ジャーナリスト橋爪一仁が分析するコラムです。今回は11月からスタートした三菱自動車工業ら5社による、日本初となる家庭向けV2G&V2H実証のニュースを解説します。
目的は電力系統の安定化とユーザーへの価値創造
三菱自動車工業、MCリテールエナジー、ニチコン、カルーザ(Kaluza)、カルーザ・ジャパンの5社は、日本初となる家庭向けV2G&V2Hの実証を11月からスタートした。こちらは、東京都が協定金を負担するGX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業の一環として、電動車の充放電最適化による電力系統の安定化と電動車ユーザーへの価値創造を目的としている。
V2Gとは、『ビークル・トゥ・グリッド(Vehicle to Grid)』の略で、電動車から家の需要を超えて電力系統に対して電気を放電すること。V2Hとは、『ビークル・トゥ・ホーム(Vehicle to Home)』の略で、電動車から家の需要に対して電気を放電することだ。

カーボンニュートラル社会の実現に向けては、発電側で太陽光発電等の再生可能エネルギー(再エネ)の導入、需要側では電動車の導入が図られるが、太陽光発電は日中に行われ、充電は帰宅後の夕刻以降に集中するため、再エネの有効利用や特定時間帯の負荷集中の回避が課題とされる。
このような課題の解決に向けて、実証では先進の充放電制御技術を用い、電力需要が多く、電力価格の高い時間帯に電動車から電力系統や家庭へ電力を放電し、太陽光発電の発電量が多く、電力価格の安い時間帯に充電する仕組みを構築することにより、再生可能エネルギーの有効活用および電力系統の安定化に貢献することを目指す。
V2G&V2Hの実証内容と意義や価値
実証では、事業者間が連携して電動車のバッテリー充電量情報や充放電制御指示をリアルタイムでシステム連携する仕組みを構築。MCリテールエナジーがデータを活用して、市場連動プラン(30分毎に変化する電力市場価格に連動して単価が決定)を提供する。
電動車ユーザーは、自宅で車両にV2G&V2H充放電器を接続、事前にアプリに希望の充電完了時間や目標バッテリー充電量を設定すれば、自動で設定条件を満たしながら経済的に最適な充放電制御が行われ、その恩恵を受けることができる。

つまり、肝はDXによるテクノロジー活用と仕組み作りから、電力系統に関わる事業者と電動車ユーザーの経済合理性を高め、それぞれが恩恵を受けられるようにすること。これらが上手く機能することは、社会全体の実装においては必要不可欠である。
実証は、2025年11月から2026年3月まで行われる。対象は、東京電力パワーグリッド管内で、ニチコンのV2G&V2H充放電器の設置とMCリテールエナジーの提供する市場連動プランに加入した、一般家庭の電動車ユーザーとなる。
『再エネ×電動車』という組み合わせが普及してきた現在、今回の実証の意義は大きく、如何に有効で意義のある仕組みを導き出せるのか? が問われる。










































































































































































































