史上最も希少な量産モデル 21選(前編) アルファ・ロメオからハマーまでメーカー別 二桁生産ランボルギーニも

公開 : 2025.12.27 11:25

BMW:507(生産台数252台、1956-1959年)

米国の有力な輸入業者マックス・ホフマン(1904-1981年)は、BMW経営陣を説得し、米国市場向けに507を設計させた。当時世界最大かつ最も収益性の高い同市場において、スポーツカーブランドとしてのイメージ向上を図ったのだ。確かにホフマン氏の計画にも一理あったが、507は予想をはるかに上回る高価格となったため失敗に終わった。それでもエルヴィス・プレスリー(1935-1977年)のような著名人の手に渡り、彼は2台所有した。

BMWは1956年から1959年にかけて252台を生産した後、507を廃止した。その後は700のような主流モデルの設計に注力し、経営難を辛うじて回避した。1978年のM1まで、生産台数が3桁を下回るモデルはほとんどなかった。M1は453台が生産され、そのうち公道モデルは399台だった。

BMW:507(生産台数252台、1956-1959年)
BMW:507(生産台数252台、1956-1959年)

シボレー:SS(生産台数1万2860台、2013-2017年)

後輪駆動V8エンジン搭載のシボレーSSは、実質的にはホールデン・コモドアのリバッジ版だ。オーストラリアで生産して米国に輸入し、家族で楽しめる現代型マッスルカーとして大胆に売り出された。2015年モデルに6速MTが追加され、愛好家層への訴求力向上が見込まれたが、販売台数は低迷。ホールデン・コモドアの生産が終了した2017年、シボレーは1万2860台で生産を打ち切った。

ピックアップトラックのコルベア95(2万650台)やSSR(2万4150台)など、他にも注目すべき少量生産モデルはあるが、いずれもSSを上回る。現時点でシボレーがSSを再投入する気配はない。

シボレー:SS(生産台数1万2860台、2013-2017年)
シボレー:SS(生産台数1万2860台、2013-2017年)

シトロエン:ビジュー(生産台数207台、1959-1964年)

ビジューは優雅だが、その中身はまさに異端児と言えるだろう。シトロエンが実績豊富なプラットフォームを用い、英国向けに開発したモデルだ。グラスファイバー製ボディの下には、2CVと共通のフレームと空冷水平対向2気筒エンジンが隠されている。

当時、シトロエンは2CVより優雅なデザインのクーペを投入することで、英国市場でのシェア拡大を期待していた。成功の可能性は否定できないが、結果は伴わなかった。1959年から1964年にかけてイングランドのスラウで207台が生産されたが、211台が正しいとする説もある。

シトロエン:ビジュー(生産台数207台、1959-1964年)
シトロエン:ビジュー(生産台数207台、1959-1964年)

フェラーリ:365カリフォルニア(生産台数14台、1966-1967年)

ピニンファリーナがデザインを手掛けた365カリフォルニアは、フェラーリ史上最も限定的なモデルとなった。1966年のジュネーブ・モーターショーで公開され、4.4L V12エンジンを搭載して最高速度約245km/hを誇った。今ではその希少性から非常に高い価値がつき、2013年には300万ドル(約4億6000万円)で落札された例もある。

フェラーリ:365カリフォルニア(生産台数14台、1966-1967年)
フェラーリ:365カリフォルニア(生産台数14台、1966-1967年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

史上最も希少な量産モデル 21選の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事