1台連れて帰るなら? 1950年代の小さな元祖ステーションワゴンたち(2)5ドアの専用設計『スタンダード 10 コンパニオン』

公開 : 2026.03.22 17:50

実用性に長けた小さなステーションワゴン 軽より短く36psのエスコート 可愛さ抜群のハスキー 専用設計5ドアの10 コンパニオン UK編集部が1950年代に生まれた先駆け的な3台をご紹介

ファミリー層へ響いた5ドアのボディ

3ドアではなく、5ドアのボディがファミリー層へ響いたといえるのが、スタンダード 10 コンパニオン。フォード・エスコート 100Eやヒルマン・ハスキーとは異なり、商用バンとは別にサルーンから専用設計された、ステーションワゴンだった。

当時のスタンダードは、企業規模としては相当な予算といえた600万ポンドを投じ、803ccエンジンを積んだサルーン、8(エイト)を開発。発売の翌年、1954年には948ccの10(テン)が追加され、それに合わせてコンパニオンも登場している。

スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)
スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1957年に改良受け、フェイズ2へ交代。フロントグリルが変更され、ゴールド塗装のロッカーカバーを被ったゴールドスター・エンジンへアップデートされている。荷室の容量は、後席を起こした状態で約480L。倒せば、約1410Lへ拡大できた。

アイボリーの1台は、1957年式の10 コンパニオン・フェイズ2で、ショーン・ラッセル氏の愛車だ。当時の試乗レポートを読むと、最高速より積載量を重視するユーザーをターゲットにしたモデルだと、紹介されている。

新しい小型車の創出へ挑戦したスタンダード

シンプルなフロントマスクは、丸いヘッドライトが可愛らしい。インテリアは明るい色のツートーン。戦後で緊縮財政の英国にあって、リアの中央には3灯目のテールランプが備わり、新しい小型車の創出へ挑戦していたことがうかがえる。

10 コンパニオンの魅力は、実用性の高さとスタイリッシュさ。ラベンダー・グレーにコッツウォルド・ブルー、リッチフィールド・グリーン、ペール・イエローなど、鮮やかなボディカラーでご近所と差別化することもできた。

スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)
スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

オーナーのラッセルは、筋金入りのスタンダード・マニア。彼の調査によれば、現存するコンパニオンは12台だとか。生産を終える1961年までに、様々なバリエーションが追加され、レストアでは頭を悩ませると話す。

「この年式は唯一、リアドアが観音開き。ボディサイドは、クロームメッキのトリムで飾られています。2021年に、グレートブリテン島南部で暮らす女性から買い取りました。状態が良く、レストアには3か月しかかかっていません」

1963年に幕を閉じたスタンダード・ブランド

当時のスタンダードは、110km/h以上でも巡航できると主張したが、ラッセルも同意する。「オーバーパワーではありませんが、80km/hで1日中走り続けられます。後にトライアンフ・スピットファイアへ採用されたMTは、変速も滑らかですよ」

他方、知名度は低い。モーリスなど、あらゆる英国ブランドと間違えられるとか。1950年代前半に、スタンダードが消滅すると想像した人は少なかっただろう。

スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)
スタンダード 10 コンパニオン(1954~1961年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ところが実際は、トライアンフのロードスター、TRシリーズがヒットすると、スタンダードを傘下に収めたルーツ・グループは、10シリーズを一部でトライアンフとして販売。8の後継モデルは、トライアンフ・ヘラルドとして発表された。

10 コンパニオンは、ヘラルド・エステートが登場する1961年まで生産は続いた。だが、1963年に親会社はスタンダード・ブランドの終焉を決めてしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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