まるで爽快レモネード DS No8 パラス(2) ロールス・ロイスへ迫る上質さ 挑戦的で魅力的なエグゼクティブEV

公開 : 2026.04.01 11:45

フラッグシップのDS9を間接的に置換する、クロスオーバーのNo8。細部まで拘られたプレミアムな空間に、仕様次第ではロールス・ロイスへ迫る上質な走りが強みです。UK編集部が評価しました。

バランスが良いシングルモーター版

DSの新たなフラッグシップ、No8。73.7kWhと245psの前輪駆動のほか、97.2kWhと280psの前輪駆動と、97.2kWhと350psの四輪駆動を試乗したが、いずれも印象は優れる。特にシングルモーター版はバランスが良く、航続距離は最長750kmがうたわれる。

245psでも、加速力は充分。滑らかにパワーを召喚でき、速度調整しやすいうえ、高速道路の速度域でも加速は鈍くならない。ブーストモードを起動すれば、一時的に260psへ強化でき、追い越しも素早く終えられる。

DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)
DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)

回生ブレーキは、ステアリングホイール裏のパドルで3段階から選択できる。センターコンソールのボタンを押せば、ワンペダルドライブも可能になる。

四輪駆動のツインモーターは確かに強力だが、柔和なサスペンションと調和しにくい。過剰なほどのパワフルさではないものの、スポーツカーを信号ダッシュで引き離したい願望をお持ちだったり、雪国の住人でなければ、シングルモーターで良さそうだ。

仕様次第ではロールス・ロイスへ迫る上質さ

以前からDSは、快適性と静寂性を重んじたクルマを提供しようとしてきた。ところが、ツインモーターで21インチ・ホイールのトップグレードでは、乗り心地に妙な硬さが残る。グレートブリテン島の傷んだアスファルトとの相性は、余り良くないようだ。

カメラで路面を読み取り調整する「アクティブスキャン」アダプティブダンパーを備えるが、上級フレンチへ期待する流麗さには届いていない。入念に仕込まれた防音材と防音ガラスで、車内は図書館のように静かだが。

DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)
DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)

対して、エントリーグレードの前輪駆動版では、角の取れた流暢な乗り心地へ浸れる。20インチ・ホイールと、100kg軽い車重が貢献しているに違いない。大きな凹凸は均しきれないものの、ロールス・ロイスへ迫る上質さといっても過言ではないだろう。

極上といえる乗り心地の代償として、操縦性は穏やか。正確で直感的に反応するものの、ダンパーとステアリングが引き締まるスポーツ・モードでも、変化度は限定的。スポーティな走りがお望みなら、DSは候補に挙がりにくいとはいえ。

ドイツの上級3ブランドより高コスパ

電費は、97.2kWhの前輪駆動で、複合的な条件を走らせて6.1km/kWh。驚くほどの高効率、とはいえないだろう。ただしボディは空力に優れ、空気抵抗を示すCd値は0.24と非常に小さい。高速道路の巡航なら、560km程は走れると主張されている。

英国価格は、73.7kWhと245psの前輪駆動で5万790ポンド(約1067万円)から。装備は充実し、スマホの無線充電パッドや無線でのミラーリング機能、バックカメラ、回生ブレーキ用パドル、前後のシートヒーター、2ゾーンエアコンなどが標準で備わる。

DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)
DS No8 パラス FWDロングレンジ(英国仕様)

航続距離も踏まえると、ドイツの上級3ブランドや、ボルボなどよりコスパは高い。DSによれば、ディーラーでのリセールバリューも高いという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 撮影

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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