もうすぐ買えなくなる『最後の純血アルピナ』(1)D3 Sリムジン編【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.05.25 11:45

どのような速度域からも俊敏で力強い加速

D3 Sのパフォーマンスは、これまでツーリングでは体験していたものの、リムジンのそれはさらに魅力的なものだった。

1750~2750rpmというレンジでフラットに発揮される最大トルクは、どのような速度域からでも常に俊敏で力強い加速を実現し、さらに高速域ではディーゼルエンジンとは思えないほどのスムーズさを感じさせながら、355psというスペックが一瞬信じられないほどの刺激とともに、ドライバーを至福の時間へと導いてくれる。

高速域ではディーゼルエンジンとは思えないほどのスムーズさを感じさせる。
高速域ではディーゼルエンジンとは思えないほどのスムーズさを感じさせる。    佐藤亮太

スイッチトロニックの制御も実に素晴らしかった。ドライブモードの選択やシチュエーションに応じて常にベストなタイミングでシフトを実行してくれるから、パドルによるマニュアルシフトを必要とする場面は限られてくる。

これもアルピナが伝統とするラグジュアリーな乗り心地は、ラストモデルのD3 Sにまで確かに受け継がれていた。ドライブモードで『スポーツ』や『スポーツ+』を選んでもその印象が大きく変わることはなく、とはいえコーナリング中にはロールをほとんど感じさせないフットワークの力強さを披露してくれるのだから、これはまさに感動以外の何物でもない。

アルピナの哲学と技術を凝縮

試乗車に装着されていたピレリPゼロは、アルピナのための専用開発タイヤで、サイズはフロントに255/30ZR20、リアに265/30ZR20という設定。これだけの偏平タイヤにもかかわらずこのライド感を演出してくることには驚かされる。

0→100km/h加速で4.6秒、最高速では273km/hを誇る、アルピナD3 Sリムジン。まさにアルピナの哲学と技術が凝縮されたともいえるこのラストモデルが持つバリューは、これからも変わることはないだろう。

20本のスポークでデザインされた前後ホイールは20インチ径。
20本のスポークでデザインされた前後ホイールは20インチ径。    佐藤亮太

アルピナとしてのクルマ作りは終わりを迎えてしまったが、その哲学はBMWアルピナで、そしてもちろんボーフェンジーペンで正確に受け継がれることを切に望みたいところだ。

*もうすぐ買えなくなる『最後の純血アルピナ』(2)に続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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