フェラーリ初のEV『ルーチェ』正式発表(1) 元アップルのデザイナーによる革新的スタイル 価格は55万ユーロに?
公開 : 2026.05.26 16:20
空気抵抗低減を重視したエクステリア
フロントとリアには、浮遊するようなフローティング式のスポイラーを備えており、いずれも黒いフォルムから分離されている。これにより、ボディと「滑らかで、本質的に空力的な内部構造」との間に空気が流れるようになっているという。
フェラーリは空力に関する具体的な数値を明かしていないが、ルーチェの空気抵抗係数(Cd値)は同社の市販車の中で最も低いと述べている。『アマルフィ』と同等のダウンフォースを確保しながら、空気抵抗を25%抑えているという。

開発段階では、プロサングエの2.5倍ものCFD(数値流体力学)計算を経ており、EVにおける空力効率の重要性を物語っている。「空気抵抗は航続距離の損失を意味する」と、空力エンジニアのマッテオ・ビアンカラーナ氏は語っている。
フロントドアのストレーキはフロントフェンダーから空気を逃がし、同様にリアフェンダーも後部から空気を逃がす。また、空気抵抗を低減するため、フロントには可動式冷却フィンが装備されている。キャビンのシルエットに影響を与えないよう、フロントガラスの両端にはワイパーが縦に取り付けられている。
ボディは、押出成形品、鋳造品、板金部品で構成されたまったく新しいアルミニウム構造であり、その床面にはバッテリーパックが搭載される。バッテリーパックもマラネロで組み立てられ、フェラーリによると、ねじり剛性はプロサングエ比で35%向上しているという。
また、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)を改善するため、フェラーリ初となる弾性マウント式リアサブフレームが採用されており、サスペンションのロアアームとリアモーターモジュールはこのサブフレームに取り付けられる。
史上初の5人乗りフェラーリ
ルーチェのインテリアデザインの一部は今年2月に先行公開されていたが、完成した全体像が披露されたのは今回が初めてだ。
短いボンネットデザインとトランスミッショントンネルの排除により、十分なスペースが確保され、フェラーリ初の5人乗りを実現。40/20/40分割式の後部座席と、その背後に597Lのトランク(フェラーリ史上最大)が配置されている。

しかし、ルーチェのインテリアで最も注目すべき要素は操作パネルだろう。上質な素材と物理的なボタンやダイヤルが採用されている。「EVだからといって、電子機器に頼り切る必要はありません」とニューソン氏は語っている。そのコンセプトは「注意散漫を最小限に抑える」ことだった。
クラシックなフェラーリを彷彿とさせる、リムが細い小径ステアリングホイールに加え、物理的な針と高精細なデジタルディスプレイを併せ持つ、前面と背面がガラス張りのダイヤルが採用されている。ほとんどの操作系は手触りだけで確認できるようになっており、触れたときに重厚感や確かな手応えを感じられるよう設計されているという。
見た目だけでなく手触りも追求
ニューソン氏は、「ジョニー(・アイブ氏)とわたしはクルマ好きです。より適切な表現が見つからないのですが、いわばクルマオタクです。古いフェラーリや、歴史あるフェラーリを所有したこともあります。わたしはクラシックカーの熱狂的なコレクターなんです」と語っている。
「ミッレミリアには14回出場しました。そして、直感的かつ自然体で関わり合えるという、その率直な能力を高く評価しています。このプロセスの非常に早い段階で、実はそれがフェラーリの本質そのものであると気付いたのです」

触覚的な質感や素材の質の高さも、重要な課題の1つだった。
「これらすべてのオブジェクトに対して、ある種の試金石のようなものを用いました。それは、美しいものであるということ。単なる美しいだけではなく、美しく仕上げられたオブジェクト、美しく作られたオブジェクトであるということです」
ルーチェはアップル・カープレイおよびアンドロイド・オートに対応しており、ステアリングホイール上のボタンを1回押すだけで、パーソナライズされた先進運転支援システム(ADAS)の設定を利用できる。
(翻訳者注釈:この記事は(2)へ続きます。)



























