究極のマツダ・ロードスター限定車『12R』を通じてわかった、原盤の尊さ(前編) 世界で存在感を示す日本の至宝【渡辺敏史が吟味】

公開 : 2026.07.06 11:45

スポーティネスを徹底的に高めた『12R』

そんなMSRロードスターは標準仕様(価格526万5700円)と、スポーティネスを徹底的に高めた『12R』(価格761万2000円)という2グレードが用意されたが、共に現時点では完売している。特に標準仕様の2200台に対し、12Rの側は200台の限定枠に対して申込みは1万件近く、抽選確率はほぼ50倍という狭き門となった。

2Lユニット搭載はMSRロードスター最大のトピックで、12Rはそのエンジンを吸気ポート形状から見直しポート自体には手研磨を施したほか、ハイカムやサーモバンテージ巻きの4in1専用エキマニ、シングルマスフライホイール採用など、パワーとフィーリングの両面で更なるチューニングを加えているのが特徴だ。

クローズドコース走行を前提とした、専用の仕立てが随所に施される。
クローズドコース走行を前提とした、専用の仕立てが随所に施される。    山本佳吾

合わせて冷却系強化やハイグリップタイヤに合わせた12Rだけのシャシーセッティングなど、クローズドコース走行を前提にした専用の仕立てが随所に施される。

さらにフジツボのチタンマフラーやアドバン・ネオバAD09、ブレンボのブレーキキットやOS技研のLSDといったパフォーマンスに直結する数々のアイテムをパッケージした12R専用のオプションも用意。サーキットでの即戦力化の道筋まで描かれている。

好戦的なキャラクター

歴史を振り返れば『M2 1001』のようなモデルはあったとはいえ、ここまで好戦的なキャラクターのロードスターを、メーカー側がお膳立てしたことはないだろう。

その理由はよくわかる。より激しい方へ、速い方へと向かうほどに、ロードスターのもつ根っこの魅力である気安さや人懐っこさから遠ざかっていくからだ。

最大のトピックは、2Lユニットが搭載されていることだろう。
最大のトピックは、2Lユニットが搭載されていることだろう。    山本佳吾

上げたパワーを受け止めるべくハコを鍛え、ハイグリップのタイヤを履くと車体もバネ下も重くなり、更にパワーを上げて……という負の連鎖をチャラにすることがとりわけND型の主旨だった。

アシを固めていけば、交差点ひとつ曲がるだけでも頬が緩むあの多幸感が薄らいでいく。道路環境的に動力性能が求められるためにハナから2Lが設定される欧米仕様はさておき、こと日本仕様が1.5Lに拘ったのはそこに理由があったのだろう。

そしてソフトトップの2LモデルをMSRというサブブランドで扱っている理由もそこに起因すると、個人的には思っている。

*究極のマツダロードスター限定車『12R』を通じてわかった、原盤の尊さ(後編)へと続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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