特別な機会に振る舞うご開帳 究極のマツダ・ロードスター限定車『12R』を通じてわかった、原盤の尊さ(後編)【渡辺敏史が吟味】

公開 : 2026.07.06 11:50

明らかに別の世界をみせてくれる

12Rは数的なハードルに加えて、価格的なハードルも高い。個人的にはちょっと高すぎるかなあと思うところもある。が、それを超えることが出来た幸運なオーナーには明らかに別の世界をみせてくれる、そんな仕上がりだ。

マツダは余りの反響の大きさに第二弾的な頒布を検討するような旨も匂わせているが、個人的には少なくとも12R的なロードスターに関してはおいそれと数を増やすべきではないと思う。言い換えればそのくらい、特別な機会に振る舞うご開帳的な存在であって欲しい。

2Lモデルが登場しても、『原盤=1.5L』の魅力は衰えない。
2Lモデルが登場しても、『原盤=1.5L』の魅力は衰えない。    平井大介

そしてこれらの特別な施しのロードスターを知った後でさえ、なお魅力にまったく衰えを感じないのがカタログモデルの凄さだ。

ムービングパーツの小ささで軽快な吹け上がりを実現している1.5Lのエンジンをしっかり回してパワーを引き出しながら、逐一ギアを選んでの一挙手一投足に一喜一憂する、そんな逐一の対話感が日々の凡な移動にも彩りを加え、乗る者にも活力をもたらしてくれる。生活を共に走る相棒としての距離感は、排気量が小さいぶんだけ、むしろ上であろう。

優れた原盤があったからこそMSRロードスターはリマスタリングとして輝くことが出来た。そう鑑みれば日本やイギリスなどごく限られた仕向地でしか味わえない1.5Lの存在価値は、尊いものと思えてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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