「なんじゃこりゃ!」 販売好調『ホンダ・スーパーワン』開発者たちが語るテスト車で受けた衝撃 シティターボIIに似ているのは悪ふざけ?

公開 : 2026.09.26 12:05

重心位置の低さやバッテリーが真ん中にある強み

赤峰さんはスーパーワンの素性についてこう語っている。

「重心位置の低さやバッテリーが真ん中にあることが強みで、それがなかったら恐らく、こういうクルマには仕上がっていないでしょう。『これなら内燃機関のクルマに仕上げても楽しいんじゃないか』とよく言われましたし、それはそれで楽しいと思ってはいます。

重心位置の低さやバッテリーが真ん中にあることが強みとなった。
重心位置の低さやバッテリーが真ん中にあることが強みとなった。    本田技研工業

しかし、こんなにきびきびとしたハンドリングには絶対にならないでしょうから、そこはスーパーワンにおける唯一無二のポイントになりました」

もうひとつ、ブーストモード時にエンジンサウンドを模した音がスピーカーから出る。これもドライビングに寄与すると赤峰さん。

「例えば、コーナーに入ってアクセルを合わせてライントレースしていく時に、自分の思っているイメージどおりに行けるかどうか、そこから速度をもうちょっと上げたいか、下げたいかというのが直感的に重要になってくるんです。

その感覚が音ではっきり分かることが大事で、自分がどれぐらいアクセルを踏んでいるのかも音量でわかる。つまり、常にクルマの状態を正確に把握して、次に自分がどうすれば行きたいところに行けるかが分かるよう、緻密に開発しています」

ブルドッグ復活をテーマにしたわけではない

こういった様々な説明を聞いていくと、やはりブルドッグと呼ばれた『シティターボII』のイメージが浮かぶ。筆者がバランスが崩れると思ったのは、シティターボIIにじゃじゃ馬な印象があったからだ。赤峰さんが説明する。

「元々このクルマは、ブルドッグ復活をテーマにして始めたわけではないんです。EVなので非常に良いところがたくさんある、言い換えるとこれは、ブルドッグ(のじゃじゃ馬さ)と真逆の良さだと思うんです。そういったところを伸ばして楽しいクルマにできると思っていました。

面白いクルマを作らせたら、ホンダは一歩も二歩も先んじている。
面白いクルマを作らせたら、ホンダは一歩も二歩も先んじている。    本田技研工業

一方で、クルマの作り方のコンセプト、元のクルマをワイドトレッドにしてパワーを上げてという世界観自体はブルドッグと確かに同じで、クルマの形状も似ていますから、途中からみんなで悪ふざけしてブルドッグに寄せていった、という経緯はありますね」

EV開発において右往左往しているイメージのあるホンダだが、やはり面白いクルマを作らせたら他メーカーよりも一歩も二歩も先んじている印象だ。スーパーワンに携わった多くの人たちが、本気で楽しんで開発したのが伝わってくるからこそ、販売も好調なのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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