ウェッジシェイプ・デザインの色褪せない魅力 2台のロータス・エスプリに乗る

公開 : 2017.04.15 00:00  更新 : 2017.05.29 19:24

公表値はウソだらけ?

1975年10月のパリ・モーターショーで、プロダクション・モデルとなるエスプリが発表されると、メディアは熱烈に歓迎した。Motor Sport誌は、5,814ポンドという価格、222km/hの最高速、6.8秒の0-97km/h加速を挙げて、このクルマをコーリン・チャプマンの ”切り札” と呼んだ。ただしこの記事には、「ロータスがエリート発表の際にアナウンスしたスペックのようにいい加減なものでなく、そのデータが信用できるものであるとするならば、2ℓ4気筒の量産スポーツカーとしては非常に優秀だ」という但し書きが付けられていた。


しかし、実際にはデータは正確ではなかった。宇宙時代を感じさせるスマートなルックスにもかかわらず、最高速や加速性能が公表値より劣ることがすぐに明らかになった。AUTOCAR誌によれば、0-97km/h加速は8.4秒と振るわず、最高速も200km/h止まりであった。ロケットのような加速性能には欠けていても、スーパーカーようなスタイリングを持っていたため、車両価格が手頃ならばまだ許されたかもしれない。だが、より高速性能に優れたアルファ・モントリオールが6,999ポンドなのに対して、エスプリは1976年には7,883ポンドに引上げられ、その後も年を追う毎に車両価格が上がっていったのだ。

S1のホイール。4穴式。


1980年にエスプリ・ターボが登場するまで、そのパフォーマンスがスーパーカー並みになることはなかった。ターボ・ユニットは最初、リミテッド・エディションのエセックスに搭載され、それからエスプリ・ターボとして正式なカタログ・モデルとなった。この時、品質面でも大幅な改善が盛り込まれ、他のスーパーカーにやっとまともに勝負を挑めるクルマへと成長したと言える。

それでもなお魅力的なオジリナル・エスプリ

だが、ジェフ・ミッチェルのエスプリS1の魅惑的なエクステリアを目の当たりにすると、そんな低い性能も許せる気持ちになってしまう。エクステリアも決して外観だけのこけおどしではない。このスマートな形状は0.34という素晴らしいCd値を与えてくれる(この数値を覚えておいて欲しい)。グラスファイバーを上半分と下半分を真ん中で接合した黒いストライプも人目を引き、先鋭なウェッジシェイプ・デザインを強調している。

SEのホイールは5穴式。


インテリアも、たとえ同乗してくれるボンドガールはいなくとも、この上なく魅力的に仕上がっている。シート・ポジションは低く、リクライニングしたバケット・シートはしっかりと身体をサポートしてくれる。ラップ・アラウンド型のコンソールに目を向けると、ファンキーな緑色のヴェリアの計器が視界に飛び込んでくる。試乗したこの個体は、オリジナルの2スポーク・デザインのステアリング・ホイールではないが、ステアリング・ホイールとシフト・レバーのポジションは完璧だ。ただ唯一残念なのは、インテリアがシャンペン・カラーのレザー仕上げで、多くのS1に用いられた「ドナルド・ホェアズ・ユア・トラウザー」を歌ったスコットランドの歌手、アンディ・スチュワートのようなタータン・チェックではないことだ。それでも、このシャンペン・カラーのレザーにも特別な味わいがある。

デロルトのツイン・キャブレターを備えたエンジンは、うなるようなエグゾースト・ノイズを響かせるが、そのサウンドはスーパーカーというよりはロータス・コルチナを彷彿とさせるものだ。エスプリのスタイリングを考えると、やはり遠吠えするようなV6や強靱なトルクを持つV8がどうしったって欲しくなる。このクルマに馴染みのない人なら、このサウンドを聞いただけで失望する人もいるだろう。エスプリに先駆けて最初にジェンセン・ヒーレーに搭載された時にはやや問題のあった907型ツインカムも、改良が進められた結果、力強いトルクを提供してくれる。イタリアの4気筒エンジンのように吹け上がるわけではないが、160psという十分に力強いパワーを発揮し、かなり気持ち良い加速を与えてくれる。

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