「独身貴族のクルマ選び」 335iクーペ vs TTクーペ3.2 vs ケイマン 回顧録(7)

公開 : 2017.10.15 09:10

心に残るのはポルシェ

3台を走らせてみて、ともかく印象的だったのは、ポルシェが驚くほど繊細で濃密なフィールを備えていることだ。

コックピットはスポーツカー特有のタイトなフィット感で満たされており、街中をゆっくり流していても、ワインディングロードをハードに攻めていても、常にクルマとの一体感を感じながらドライビングに集中できる点は、さすがである。

だが、さすがのポルシェもBMWの後に乗るとパワーが不足しているように思えてくる。335iクーペの3ℓツインターボは、数値的にはケイマンの2.7ℓの約1.5倍のトルクがあるが、実際にはそれ以上の差があるように感じられてしまう。

先程、335iクーペは高速道路の追い越し加速ではM3並みに速いと述べたが、335iクーペとM3のパワーソースの決定的な違いは、前者が高回転を使わなくても頼もしいトルクが得られるのに対して、後者はそうではないという点だ。335iクーペは確かに速いが、それは積極的にレッドゾーン手前まで回したくなるM3ユニットとは異質のものなのである。

ここで3台の動力性能を検分してみよう。

トップギア固定状態(BMWとアウディは6速でポルシェは5速)での80-113km/h加速は、BMWが6.0秒、アウディが7.4秒、ポルシェが9.0秒。

次にゼロ発進加速であるが、BMWは発進加速にはもっとも不利なFRにも関わらず0-100km/hが5.4秒、0-161km/hを12.8秒という、リアルスポーツも真っ青の俊足ぶりを見せた。

アウディの0-100km/h:5.8秒、0-161km/h:15.1秒という加速タイムはまあまあ立派だが、このクルマは発進加速には有利な4WDであるということを忘れてはならない。

ポルシェは0-100km/h:6.1秒、0-161km/h:15.2秒だ。あと一歩、アウディに及ばなかった。こうして比べてみると、いかにBMWの動力性能が強烈かがおわかりいただけるだろう。しかし、ポルシェも排気量を考慮すれば大いに健闘したと言っていいだろう。

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