【609psのハイブリッドクーペ】ポールスター1 ハンドメイドで1500台限定

公開 : 2019.12.12 09:50

注目すべき優れたコーナリング性能

ツインチャージャーの唸りと、カーボンファイバー製のインダクションが発する吸気音に、モーターの響きが重なり、個性的な音響を生み出している。ガソリンエンジンのものより優れているというより、別の魅力を感じる。

フロントタイヤとリアタイヤは別々のパワーユニットで動いているが、「1」の走りで本当に凄いところはコーナリングにある。ステアリングの感触は希薄ながら、適度な操舵時の重さがあり、レスポンスも良い。

ポールスター1
ポールスター1

リアモーターのトルクベクタリング機能と協調しながら、ポールスター1はコーナーの頂点めがけて機敏に向きを変えていく。コーナー出口ではアウト側リアタイヤの回転速度がやや速く、押し出すような感覚も得られる。オーバーステアに持ち込む程ではなく、アンダーステアを消し、ニュートラルな姿勢を保ってくれる。

フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式となるサスペンションの動きも良い。ダンパーはアダプティブ・タイプではなく、デュアルフローの手動調整式となる、驚くほど高価なオーリンズ製。

豪華なスポーツクーペの乗り心地を、あえて硬くしたいドライバーは少ないだろうだから、技術者の選択としては少し不思議ではある。だが、非常に優れたダンパーだから結果は素晴らしい。急な進行方向の変化を与えると、特別なサスペンションの見事な仕上りを味わえるだろう。

ブレーキは、高い速度域では漸進的なペダルのフィーリングがある。低速域になると僅かな感覚の変化があり、回生ブレーキが止まり摩擦ブレーキだけの減速に切り替わるのが分かる。

グランドツアラーとしての確かな完成度

乗り心地にはやや硬さを感じるが、それもよほど荒れた路面でのみ。S90では衝撃を吸収しきれない鋭い入力があっても、ポールスター1はしなやかに丸め込んでくれる。わずかな作業でダンパーを柔らかく設定することも可能だ。

インテリアの仕立ても特別感がある。専用のレザーシートに透明なシフトノブなど、ディティールにも優れ、スタイリッシュなボルボのインテリアを更に1ランク引き上げている。ポールスターの価格に相応しく感じられるはず。

ポールスター1
ポールスター1

手作業で1500台が生み出されるポールスター1の英国価格は13万9990ポンド(1959万円)。英国でも珍しい存在となるだろう。

これだけの技術を搭載していながら、クルマとしての個性を備えているところも魅力的。少し硬めの乗り心地や狭いリアシートなどは気になるかもしれないが、アナログとデジタルの素晴らしい融合効果を生み出している。グランドツアラーとしての完成度は高い。

ハンサムなデザインをまとうポールスター1は、ポールスターのショーケースとして重要な役目を持つ。複雑な構成を見事にまとめ上げ、足の速いクーペとして確かな存在感を放っている。

ポールスター1のスペック

価格:13万9990ポンド(1959万円)
全長:4585mm
全幅:1935mm
全高:1352mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:142.8km/L
CO2排出量:15g/km
乾燥重量:2350kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー+スーパーチャージャー/トリプルモーター
使用燃料:軽油
最高出力:609ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:101.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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