【ミニバン王者の失墜】アルファードに惨敗の日産エルグランド なぜ大きな差? 進むべき道は

公開 : 2020.01.11 05:50  更新 : 2021.10.13 13:58

一時はメーカー自ら「キングオブミニバン」とも言われた日産エルグランド。今や、全盛期の見る影もない状態が続いています。アルファード/ヴェルファイアに水をあけられたワケは? 今後の進むべき道は?

かつての「キングオブミニバン」も今は

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

一時はメーカー自ら「キングオブミニバン」と称し、その名に恥じない人気ぶりを見せていた日産エルグランド

しかし最近ではトヨタアルファード/ヴェルファイアに大きく水をあけられ、全盛期の見る影もない状態が続いている。

初代日産エルグランド
初代日産エルグランド

1997年に登場した初代エルグランドは、当時の3列シート車はどちらかというと人員輸送車というキャラクターが強く、ワンボックス車から派生した乗用モデルというものが一般的だった。

フロント部にエンジンを搭載したセミキャブオーバータイプとし、洗練された内外装を持った乗用専用モデルとして瞬く間に人気車種となった。

デビュー翌年の98年には広大な室内スペースを4人乗りとしたVIP仕様の「ロイヤルライン」がオーテックジャパンよりリリースされており、先見の明があったことは明らかと言えるだろう。

また、スポーティなスタイルを持った「ハイウェイスター」や、オーテック扱いのドレスアップモデルの「ライダー」も設定され、カスタマイズを楽しみたいユーザーからも支持を集めており、エルグランドが一躍人気車種になったのもうなずけるというもの。

そして2002年には2代目となるエルグランドが登場。そこにライバル車として登場したのが、トヨタ・アルファードだったのである。

アルファードの登場とエルグランドの低迷

トヨタもエルグランドのデビューからずっと指をくわえてみていたわけではない。

先行して95年にデビューしていたグランビアに改良を加え、エルグランドに対抗していたのだが、やはり基本設計の違いは如何ともしがたく、エルグランドの後塵を拝していた。

トヨタ・アルファード
トヨタ・アルファード

そして満を持して2002年に登場したのが、アルファードというわけだ。エルグランドを徹底的に研究して生まれたアルファードは、室内空間をより有効に活用できるように前輪駆動レイアウトとしたほか、エルグランドには存在しなかった4気筒2.4Lエンジンも設定して価格を抑えるなど、多くのアドバンテージを持っていたのだ。

一方のエルグランドは、先代に引き続きFRレイアウトを採用し、エンジンもV6 3.5Lのみの設定。

ハンドリングに優れ、前後重量配分的にも有利なFRレイアウトを採用したことで、走りにもこだわりを持つユーザーには高い評価を受けたものの、室内空間や価格に重きを置く一般のファミリー層からは敬遠される結果となってしまう。

その後アルファードはエルグランドよりも早い2008年に2代目へフルモデルチェンジ。兄弟車のヴェルファイアを加え、ますます勢いに乗る。

一方のエルグランドは2010年に遅ればせながら前輪駆動レイアウトになるが、その差は広がる一方で、2015年にアルファード/ヴェルファイアが3代目となった段階で決定的となってしまった。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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