ロードテスト ヴォグゾール・コルサ ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2020.02.01 20:50

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ほかの古豪欧州メーカーが用意するライバル車とは異なり、コルサは決してファントウドライブを追求しようとはしてこなかった。スポーツグレードのVXRでさえ、ドライビング面の魅力は評判の一部に過ぎなかった。

その要因は、ヴォグゾールオペルの考え方にある。ベーシックカーの走りのキャラクターは、アジリティやレスポンスより、使いやすさや便利さを重視してきたのだ。それで長年にわたり売り上げ好調だったのだから、メーカーの判断はおそらく間違っていなかったのだろう。

歴代モデルに比べ、ハンドリングの正確さや全体的な運動性のバランスが、根本的に優れているのは確かだ。しかし、求められる課題をクリアできているとは言いがたい部分も目につく。
歴代モデルに比べ、ハンドリングの正確さや全体的な運動性のバランスが、根本的に優れているのは確かだ。しかし、求められる課題をクリアできているとは言いがたい部分も目につく。    OLGUN KORDAL

それを踏まえれば予測できるだろうが、このクルマには葛藤が見て取れる。

歴代モデルに比べ、ハンドリングの正確さや全体的な運動性のバランスが、根本的に優れているのは確かだ。これは、低くなった車高や軽くなったウェイトがもたらすものだといえる。

しかしながら、かけた開発コストに対し、求められる課題をクリアできているとは言いがたい部分も目につくのだ。

キレがなくオーバーサーボ気味なブレーキペダルと同じく、ステアリングも軽くてフィールがあまりハッキリしない。

単調な手応えは、舵角が増しても変化せず、スペンションやタイヤのサイドウォールへの負荷が増加していくのを伝えてはくれない。まるで、GM時代のヴォグゾールが、英国向けに仕立てた過去のモデルを見ているようだ。

驚くほど速く中立へ戻ろうとするセッティングも、直観性が予想をやや下回る一因だ。それは、進路決めにも取り回しにおいてもいえることである。

タイトなスペースへの駐車では、せわしない操作が必要になりそうだ。とは言うものの、それにいちいち不満を持つドライバーというのもそうそういないだろう。

ハンドリングのレスポンスは穏やかで慎ましやか。そのため、速度を上げてしまえば、手応えやフィードバックの薄さが、低速で動いているときほどには気にならなくなる。

ステアリングのギア比はほどほどで、四輪とも十分にグリップがあり、シャシーバランスはスタビリティを優先したものだ。ドライビングの楽しさはやはり物足りないが、ボディコントロールや速度を上げた際の安心感には優れる。また、ハンドリングの精確さはかなりのものだ。

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