【最高のソリューション】メルセデス・ベンツE 300de EQパワー 最終回 長期テスト

公開 : 2020.06.27 11:50

長距離に最適なディーゼルエンジンと、都市部に適したハイブリッド、ステーションワゴン・ボディという、理想的な組み合わせに思えるE 300de。短距離ならEVモードでの走行も可能です。実力を長期テストで確認します。

積算2万1384km 筆者の知る限り最高のソリューション

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
英国では唯一、ディーゼルエンジンを搭載したプラグイン・ハイブリッド・モデルとなる、メルセデス・ベンツE 300de EQパワー・エステート。長期テストは最終回となるが、とても有意義なものだった。

ディーゼルエンジンは環境負荷を理由に、英国では人気が下火傾向。だが、プラグイン・ハイブリッドとの組み合わせは、その考えを改めてくれる可能性がある。

メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)

都市部では、EVモードなら排気ガスを一切排出しないで走行できる。長距離なら、クリーンディーゼルのメリットを享受できる。

フォルクスワーゲンによる不正を端に、ディーゼルエンジンは不当と思えるほどに評判が悪い。欧州以外の市場では、ディーゼルに対する関心も薄い。そんな背景もあって、E 300de EQパワーの人気は高まらないのだろう。だが、筆者の知る限り、最高のソリューションだと思う。

一番関心を持っていたのが、カタログ値やイメージと、実際との差。クルマだから、必ず違いが生じる。それはスペック表の信じがたい燃費や、CO2の排出量だけではない。

例えば価格。E 300de EQパワー・エステートは、同じエンジンを搭載したPHEVではないE 200dエステートと比べて、英国では9230ポンド(121万円)高い。

この差を燃料代で稼ぐには、相当な距離を走る必要がある。一方で英国の場合、会社からの貸与車両として考えると、課税制度でかなりの訴求力が出てくる。

EQパワーの良い点と悪い点

車重はE 200dエステートと比べると、345kgもE 300de EQパワー・エステートの方が重い。しかし最高出力は193psに対して306kgと、重さ以上の違いがある。

パワー・ウエイト・レシオで見れば、その差は歴然。0-100km/h加速では、7秒以上を要するE 200dエステートに対し、E 300de EQパワー・エステートは6秒を切る。

メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)
メルセデス・ベンツE 300de EQパワー SEエステート(英国仕様)

もちろん、ディーゼルエンジンとプラグイン・ハイブリッドというコンセプト自体の、好みもあるだろう。筆者はこの組み合わせを高く評価する。

数字としては表れない魅力もある。都市部をEVモードで走らせている時の感心するほどの上質さが、筆頭としてある。ベルベットのように滑らかなサスペンションだけでなく、ほぼ完全な静けさに包まれる車内空間は素晴らしい。

多くの自動車ユーザーが1日のドライブを、その平穏な状態で終わらせることができる。充電さえしてあれば。

E 300de EQパワー・エステートのEVモードでのパフォーマンスも、日常的な条件であれば不足はない。メーターに表示される航続距離が、実際の距離よりわずかに短いという点も安心材料。筆者の場合、あまり都市部を走ることはなかったのだけれど。

日常の足としての短所は、削られる荷室の容量と変わった形状。充電量以上の長距離を走行する場合、大人4人分くらいの重さのバッテリーを常に背負うことにななる。

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