【日本の高級車、復活なるか】レクサスLS改良新型 LS500h Fスポーツ 乗り心地/静粛性/アドバンストパークの評価は?

公開 : 2021.01.02 21:45  更新 : 2021.12.27 23:58

乗り心地/タイヤの話

逆にコンフォート・モードを選択しても挙動は落ち着いており、スポーティドライビングも難なくこなす。セオリーどおりの懐深いハンドリングである。

ただ、乗り心地では多少不満がある。

レクサスLS500h Fスポーツ(ホワイトノーヴァガラスフレーク)の後席内装。
レクサスLS500h Fスポーツ(ホワイトノーヴァガラスフレーク)の後席内装。

45扁平20インチで、しかもランフラットのせいか目地越えなどで車軸周りがばたつくような振動が目立つ。まるでタイヤが自身の存在を主張しているようだ。

他が洗練されているだけにミスマッチのように思えた。

一方で、安全&運転支援機能の進化もMCの要点の1つ。もちろん、原点回帰ではなく近未来標準への積極的なアプローチである。

その中でも使用頻度も実効性も高いのが、ハイブリッド車に採用された「アドバンストパーク」だ。

アドバンストパークを試す

アドバンストパークの使い方は駐車したスペースの横に止め、モニターで駐車したい場所と方向を指定するだけ。あとはシステムが操舵加減速を自動制御してくれる。

駐車区画の指定は白線を基本とするが、駐車位置を画像上で記憶させれば白線がなくても自動駐車が可能。また、縦列駐車では出庫も自動で行える。

ハイブリッド車に設定されたアドバンストパークを体験。縦列駐車の出庫にも対応するのは、このボディサイズでは有難い。
ハイブリッド車に設定されたアドバンストパークを体験。縦列駐車の出庫にも対応するのは、このボディサイズでは有難い。

実際に試してみたが、効率的且つスムーズにこなす。しかも加減速も転舵も丁寧で違和感がない。

全長5.2m強、全幅1.9m、最小回転半径5.6mで長いホイールベースのため内輪差も大きい。

LSを扱ううえで最も気を使う状況の1つであり、手動で駐車すれば時間も安全確認に要する精神的な負担も大きいだけに、実に有り難い機能である。

その他の機能向上では、衝突回避システムが右左折時の歩行者、右折時の対向車にも対応、AHS(アダプティブ・ハイビーム・システム)はRXで採用した走査式照射のブレードスキャン型に変更。

また、ドライバーに優しい運転支援を実現すべく、ディープラーニングを中心としたAI技術の導入をするなど、次世代に向かって着実に進化している。

「買い」か?

LSにスポーティなキャラを求めるならパワートレインの形式やスペックからしてもターボ車のFスポーツを狙うのが順当。

しかも、ハイブリッド車よりも100万円以上安い。だからといってハイブリッドのFスポーツはミスチョイスとも思わない。

レクサスLSの今回のマイナーチェンジでは、内燃モデルは3.5Lツインターボの変速スケジュール/加速時トルクコントロールの改良も行われた。
レクサスLSの今回のマイナーチェンジでは、内燃モデルは3.5Lツインターボの変速スケジュール/加速時トルクコントロールの改良も行われた。

LS500hのWLTC総合モード燃費は13.6km/L。高速モードなら15.5km/L。

同クラスでは最高水準の燃費であり、高性能と環境性能の両立はレクサスのフラッグシップに相応しい。そういった特徴を損なう事なくクルマ好きの雰囲気を纏ったモデルがハイブリッドのFスポーツである。

これまで、あるいは他のレクサス車の印象からFスポーツと言えば走りにアグレッシブなドライバー向けのモデルのように考えてしまうが、LS500hのFスポーツは内外装の好みで選べるモデル。

フォーマルの標準系に対してカジュアルな趣のFスポーツという捉え方でもいいだろう。

また、価格はバージョンLの約140万円減。1350万円をして言うには抵抗があるもののLSでは手頃。プレミアムの頂点クラスの先進的モデルとしてはコスパでも優等生である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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