【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフR 加速はスムース 低速の乗り心地に難 高価すぎる

公開 : 2021.04.24 20:25  更新 : 2021.05.05 07:44

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

フォルクスワーゲンは、ゴルフRの基本となるレシピをどれほど発展させたのか、と問われれば、答えは「なにも変わっていません」ということになる。

横置きされたEA888ユニットはエヴォ4へ進化し、出力は20ps引き上げられたが、基本は先代と同じエンジンだ。ホットハッチのトップレベルが400psの大台を超えるなかにあっては、保守的に思えてしまう。

ブリヂストン製タイヤは、われわれの好みからすると乗り心地が硬く、常に寛容というわけではなかった。ホイールのヴィジュアル的なインパクトは、まちがいなく絶大なものがある。テスト車にはエストリルと銘打たれたオプションの19インチが装着されていた。
ブリヂストン製タイヤは、われわれの好みからすると乗り心地が硬く、常に寛容というわけではなかった。ホイールのヴィジュアル的なインパクトは、まちがいなく絶大なものがある。テスト車にはエストリルと銘打たれたオプションの19インチが装着されていた。    MAX EDLESTON

おそらく、これは意図的なものだ。日常使いでのドライバビリティを強調するためか、はたまた、2007年に誕生したアウディ開発エンジンから信頼性を担保して無理なく引き出せる出力の限界に達したのかは推測するしかないが。

いずれにせよ、このクルマの0−100km/hは、先代にコンマ1秒後れを取る。元凶はウェイトだ。1476kgという車両重量は、先代比16kgの増加。ただし、パワーウェイトレシオはほぼ変わらない。

それ以外にも、類似性は強い。先代より長く、広く、低くなったとはいえ、その差はわずか。ホイールベースも2mm延びたのみだ。先代ではモデルライフの途中で3ドアとMTを廃止しているが、新型ははじめから5ドアの7速DCTのみが設定される。

詳しくみていくと、もっと興味深いことがわかる。これまで通り、地上高は通常のゴルフより20mm低いが、スプリングレートとスタビライザーの硬さは先代より1割ほど増しており、運動性をよりシャープにしようとしたことがうかがえる。

前輪のネガティブキャンバーも増し、アルミのブレーキキャリパーは600g軽く、ドリルドディスクの直径は17mm拡大されて357mmとなった。フロントアクスルは、強固なアルミの新型サブフレームにより、バネ下重量が3kg削減されている。

それよりはるかにエキサイティングな追加ポイントは、外から眺めてもわからないところにある。それは、ハルデックス式4WDシステムに加えられた、Rパフォーマンス・トルクベクタリングだ。

リアディファレンシャルは、電動機械式クラッチユニットでサンドウィッチされている。リアアクスルへは、エンジンが発生する駆動トルクの最大で半分が送られるが、必要に応じてその全量を片側へ伝達することも可能だ。

これは、3代目のフォード・フォーカスRSに搭載されたのと同種のシステムで、これを含むRパフォーマンスパッケージを選択すると、ドリフトモードも追加される。これを使えば、その機会が来た際に、車をうまくオーバーステアへ持ち込める。

テスト車にそのオプションパッケージは未装着だったが、DCCことアダプティブダンパーは装備していた。これには、標準仕様のパッシブダンパーと異なり、セッティングが複数用意されている。

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