【記録的な低迷】9月の新車販売 軽は41年ぶりの低水準 登録車は?

公開 : 2021.10.02 05:45

9月の新車販売レポートです。「軽」は41年ぶりの低調。「登録車」は統計開始時に近い水準まで落ち込みました。半導体不足・新型コロナの影響です。

前年比32%減 半導体/新型コロナで減産

執筆:Naojiro Onuki(大貫直次郎)

自動車用の半導体不足に加えて、東南アジアでの新型コロナウイルス感染急拡大による部品調達の遅延が重なって、多くのブランドが減産、および生産調整を余儀なくされた日本の自動車業界。

2021年9月の国内新車販売台数は、その影響が明確に表れた。

各ブランドの新車工場で稼働停止・生産調整が相次いでおり、新型車の納期は流動的。すぐ手に入る中古車の市場は活気づいている。
各ブランドの新車工場で稼働停止・生産調整が相次いでおり、新型車の納期は流動的。すぐ手に入る中古車の市場は活気づいている。

全軽自協がまとめた9月の軽自動車の国内新車販売台数(速報値)は、同35.9%減の11万2948台と、4か月連続でのマイナス。

9月単月で12万台を下回るのは1980年以来、41年ぶりのことだ。

一方、自販連がまとめた9月の登録車の新車販売台数(速報値)も、前年同月比30.0%減の20万5423台と、7か月ぶりのマイナス。

しかも、9月単月としては、1968年に統計を取り始めた際の18万4709台に続く少なさとなる。

結果として、トータルでの国内新車販売台数は、同32.2%減の31万8371台と、3か月連続での前年実績割れとなった。

なお、2021年度上半期(2021年4月~9月)の新車販売台数は、前年同期比1.1%増の205万359台と2年ぶりの前年度超えを成し遂げている。

軽自動車の9月のブランド別新車販売台数では、三菱自のみが前年同月比23.7%増(5355台)とプラスを達成する。

一方、ブランド別で首位に立ったのはスズキで、前年同月比39.8%減ながら3万3840台を達成して4か月ぶりのシェアトップにつく。

前月首位のダイハツは、同37.9%減の3万1952台と落ち込んで、第2位にダウンした。

また、ホンダは同42.3%減(1万8717台)、日産は同24.4%減(1万7346台)と苦戦。さらに、OEM供給を受けるブランドも、トヨタが同9.5%減(2441台)、マツダが同49.9%減(2058台)、スバルが同38.9%減(1238台)と、すべてマイナスを記録した。

登録車は? 今後の展望は?

登録車の9月のブランド別新車販売台数では、新車効果が表れた三菱自が前年同月比23.7%増(3262台)と、軽と同様に唯一プラスを達成。

また、ノートおよびノート・オーラの販売が好調な日産は、同4.6%減(2万5015台)と1ケタ減に抑える。

登録車の9月の実績では2ケタ減のブランドが多いなか、ノート・シリーズなどが好調な日産は、1ケタ減に抑えることができた。
登録車の9月の実績では2ケタ減のブランドが多いなか、ノート・シリーズなどが好調な日産は、1ケタ減に抑えることができた。

それ以外のブランドはすべて2ケタのマイナスで、トヨタは同37.3%減(8万9737台)、ホンダは同22.7%減(2万942台)、マツダは同50.0%減(8227台)、スズキは同43.9%減(6223台)、スバルは同27.5%減(4651台)、レクサスは同27.8%増(2819台)、ダイハツは同74.3%減(1564台)と、大幅な落ち込みを記録。

このうち、マツダとスズキ、ダイハツは4か月連続での前年割れとなった。

9月の新車販売に関して業界団体の関係者は、「登録車と軽自動車ともに多くのブランドが減産や生産調整を実施し、それに伴って需給ギャップも起こり、結果的に9月の新車販売台数は大きく落ち込んだ。もちろん、コロナ前の一昨年の台数(登録車34万7706台、軽自動車20万503台)には遠く及んでいない。半導体不足や部品調達の遅滞による減産は、克服されない状況が続いている」と解説する。

今後については、「新型コロナワクチン接種の進行に伴ってディーラーへの客足は回復基調にあり、合わせてオンラインによる商談や販売の強化も一定の効果を上げている。緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の解除も発せられ、また発表された新型車の初期受注も好調なモデルが多いので、年末に向けて販売台数が復調する可能性は十分にある。とにかく、現時点の喫緊の課題は半導体不足や部品調達の遅滞を乗り越えること」と指摘した。

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