【詳細データテスト】ルノー・アルカナ 意外な広さ ハイブリッドは燃費良好 質感と快適性には妥協も

公開 : 2021.10.23 20:25

ルノー・アルカナは、広い空間とクーペ風のルックスを両立し、斬新なハイブリッド機構はなかなかの燃費。が、動力性能はイマイチで、乗り心地はハンドリングの犠牲に。新ジャンルの先駆者となるには、物足りなさが否めません。

はじめに

間違いなくクラストップになれる方法があるとすれば、それはまったく新しいクラスを作ってしまうことだ。メルセデスは初代CLSで、4ドアクーペというクラスを産み出し、日産ジュークで、BセグメントSUVを開拓した。この2台がとくに顕著な例だ。

そして今、Bセグメント以上、Cセグメント未満で、商品としての訴求力をわずかばかり高めた高めたクロスオーバークーペという、ありそうでなかったカテゴリーが生まれようとしている。少なくとも、今回取り上げるルノーアルカナはそういうクルマだ。

テスト車:ルノー・アルカナEテック・ハイブリッド 145 Sエディション
テスト車:ルノー・アルカナEテック・ハイブリッド 145 Sエディション    OLGUN KORDAL

コンパクトなファミリーカーを探しているユーザーは多くても、事細かな要件まで明確に定めているひとはそう多くないだろう。このアルカナにしても、もしルーフがスロープしたSUVというスタイルによほどご執心でなければ、これに代わる選択肢はたくさんある。

日産ジュークや、同じルノーのキャプチャーであれば、もっと少ない出費で手に入る。ただし、室内の広さは多少なりとも目減りする。逆に、予算を数千ポンド上げれば、上位クラスのSUV、たとえば日産キャシュカイやヒュンダイ・ツーソンあたりが射程に入る。

今回のロードテストで、新たなカテゴリーのパイオニアであるアルカナの立ち位置をはっきり見極めたい。これは、ボディサイズと室内空間の妥協点として、クロスオーバーにおける新たな最適解なのだろうか。それとも、まったく異種のきっかけや影響をごちゃ混ぜにしただけのクルマなのか。

また同時に、Eテック・ハイブリッドの実力も探ってみたい。少し前にテストしたメガーヌのプラグインハイブリッドと同様に、フルハイブリッドとしてうまくはたらいてくれるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。

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