フォルクスワーゲン・ルポGTI 英国版中古車ガイド 軽量ボディのポケット・ロケット

公開 : 2022.02.11 08:25

今はなきVWのコンパクトモデル、ルポ。今後も衰えないであろう、ホット仕様のGTIの魅力を英国編集部がご紹介します。

車重978kgに124psの1.6L NA 4気筒

フォルクスワーゲンがUp!を発表する以前、同社はルポと呼ばれるモデルを作っていた。発売は1998年。価格帯が1つ上で、ひと回り大きいポロを下から支える、優れたハッチバックだった。

全長3525mmの小さなルポだったが、その能力に多くのユーザーが集まった。3気筒1.2Lディーゼルターボ・エンジンを搭載した例では、巡航で42.5km/Lという驚くべき燃費を2001年のAUTOCARで残している。

フォルクスワーゲン・ルポ GTI(2000〜2005年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ルポ GTI(2000〜2005年/英国仕様)

われわれの興味を喚起させたのが、高性能なGTIの登場。同時期に、パフォーマンスでもフォルクスワーゲンはクラス上位を狙おうとしていた。

ルポ GTIへ搭載されたエンジンは、16バルブの1.6L自然吸気4気筒で、最高出力は124ps。現代基準では目立った馬力ではないものの、軽量化も施され、ポケット・ロケットと呼べる動力性能が与えられていた。

ボンネットとフロントフェンダー、ドアをスチール製から軽いアルミニウム製へ変更。車重は978kgと1tを切っていた。かといって、充実装備はしっかり残ったままだ。

ヘッドライトは当時としては新しいキセノンで、ホイールは15インチのバサースト。マフラーはセンター2本出しで、車高が20mm落ちるスポーツ・サスペンションとディスクブレーキ、ボディ同色のサイドモールなどで見た目が引き締められていた。

インテリアは、メーターリングがクロームメッキになり、軽快な動きに身体を支えてくれるスポーツシートも奢られていた。製造品質は今でも高いといえるもので、ドアの開口部はミリ単位で一致。今でも、凛々しい姿は失われていない。

今でも霞まないホットハッチとしての魅力

そういっても、ルポ GTIは発売から20年が経過している。駆動系統などはくたびれていても不思議ではない。

多くの英国人オーナーが悩んでいるのが、リアスポイラーの劣化。水分で塗装に気泡が出てしまうようだ。ドアハンドルや内装部品の緩みも珍しくはない。

フォルクスワーゲン・ルポ GTI(2000〜2005年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・ルポ GTI(2000〜2005年/英国仕様)

トランスミッションは、初期型には5速マニュアルが組まれていたが、2002年には6速マニュアルも登場している。6速の方がクルージング時の質感は高いものの、ファンの間では5速の方が速いと支持する傾向もある。

ベストコンディションなら、0-100km/h加速は7.7秒。機敏なシャシーと鋭いステアリングフィール、優れたグリップ力などが相乗し、実際以上に速く感じる。そんなルポ GTIへ刺激され、オーナーが改造を施すケースも珍しくなかった。

ただし、これから探すなら、可能な限りオリジナル状態の方が良いだろう。ちなみに、2003年からエンジンはユーロ4へ準拠するよう、アップデートされている。燃費は普通に運転しても、14.0km/Lに届くはず。

ルポ GTIは、ホットハッチとして魅力の塊だった。しかし、オプションレスの英国価格は約1万3000ポンドとお高めだったのが難点。ミドルグレードのゴルフと同等、ミニ・クーパーより少し安価な設定だった。

結果的に、英国では1000台も売れていない。近年ではますます珍しい存在になってきている。それでも能力に優れ運転も楽しい。ルポ GTIの訴求力は、今でも衰えてはいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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