レクサスNX 詳細データテスト 内装とインフォテインメントは大幅に進歩 動力系と乗り心地は要改善

公開 : 2022.03.26 20:25

結論 ★★★★★★★★☆☆

疑いなく、新型NXは初代より改善されている。ルックスはあらゆる点で衝撃的でありながら、やや美しさを増した。また、豪華なインテリアと、穏やかで安心感のあるドライバビリティは、日常使いを楽しいものにしてくれる。その点、先代は物腰がラフすぎた。

新たなインフォテインメントシステムもまた、2代目NXをより完成度の高いクルマにしている一因だ。さらに、経済性もパフォーマンスも高められている。それらすべてが相まって、ややもすれば横並びになってしまうクラスにおいて、このレクサスを魅力的な選択肢たらしめる基本的なクオリティを引き上げている。言い換えるなら、個性が強まっているということになる。このルックスが好みなら、購入を検討してみていいと思う。

結論:おもしろく、洗練され、効率的。しかし、最高に磨かれたクルマというほどではない。
結論:おもしろく、洗練され、効率的。しかし、最高に磨かれたクルマというほどではない。    MAX EDLESTON

ただし、そうしたすべてを踏まえても、万人受けするとはいいがたいのもまた事実だ。パワートレインは経済的だが、違和感を覚える場面もある。またシャシーはスタビリティがありコントロールが効いているものの、乗り心地もハンドリングもBMW製の競合モデルには及ばない。

そうはいっても、NXはモデルチェンジで、中型SUVクラスにおけるより興味深いクルマの仲間入りに向けて、あきらかに前進したといっていい。そのことはたしかだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

EVモードを含む走行モードは、思いのほか長く使えることもあるが、バッテリー残量が足りないせいでそうはならないことのほうが多い。

マット・ソーンダース

シフトパドルによるマニュアルモードが用意されてはいるものの、その存在に説得力はない。エンジン回転を上げることはできるが、パワートレインと息が合わない感じもまた生んでいる。さらに言えば、燃費にとってはマイナス要素でしかない。

オプション追加のアドバイス

プレミアムパックとプレミアム・プラスパックは、じつに充実した装備内容だが、アダプティブサスペンションのAVSはFスポーツの専用アイテム。購入前に、AVSの有無による違いを試乗して確かめておいたほうがいい。また、ボディカラーのうちアズールブルーとFスポーツホワイトは、Fスポーツ専用色だ。

改善してほしいポイント

・ヘッドアップディスプレイを操作する静電容量式サムパッドは、改善を求めたい。
・信号待ちなどの際に、エンジンがかかることがほぼなくなる方法を見つけてほしい。
・シフトパドルはいらないので、それ以外の手が触れる部分の質感を改善するのにコストを回してもらいたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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