レクサスNX 詳細データテスト 内装とインフォテインメントは大幅に進歩 動力系と乗り心地は要改善

公開 : 2022.03.26 20:25  更新 : 2022.03.27 14:56

走り ★★★★★★★☆☆☆

長年にわたりトヨタレクサスは、経済性を最大限に引き出すためのハイブリッドシステムを、よりナチュラルにするべく力を注いできた。とくに、加速感とエンジン回転のマッチングは、重視されてきたポイントだ。

新型NXに搭載されたシステムは、そのプロセスや洗練度が、賞賛に値することをよく示している。たとえそれが、よくできた内燃機関車に肩を並べるまでには至っていないとしてもだ。

日常使いするには不満のない動力性能はあるものの、BMW 330e Mスポーツと同じ価格帯だと思うと物足りない。また、エンジン依存度が高い走行状況では、洗練性に欠けるところが出てしまう。
日常使いするには不満のない動力性能はあるものの、BMW 330e Mスポーツと同じ価格帯だと思うと物足りない。また、エンジン依存度が高い走行状況では、洗練性に欠けるところが出てしまう。    MAX EDLESTON

NX350hのパフォーマンスは、まずまず不満のないものだが、それでも控えめではある。テスト車の0−97km/h加速タイムは7.1秒だが、そこから161km/hへ達するにはさらに12秒ほどかかる。これより価格も車格も低いヒョンデ・ツーソンハイブリッドは、97km/hまで0.5秒余計にかかるが、161km/hに届くときには逆転している。

同じ価格帯でセダンを買おうとすれば、BMW 330e Mスポーツも選択肢に入る。それならば、6秒以下で楽に97km/hまで加速できる。これに近い速さをこのレクサスの中型クロスオーバーに求めるならば、PHEVで306psを発生するNX450h+が必要だ。

そうはいっても、ストレスの少ない日常使いをするのが目的なら、NX350hはなかなかいい仕事をしてくれる。ハイブリッドシステムは先代比でおおよそ25%ほどパワフルになっていて、市街地の速度域なら楽にEV走行でき、開けた道ではすばやい追い越し加速をみせてくれる。

バッテリー残量が非常に少ないときにはエンジン依存度が上がり、そうなるとこのパワートレインはわずかながら詰めの甘さを感じさせる。それは、激しく加速しようとしたときにも垣間見える。

そうした際にこのレクサスのハイブリッドシステムには、先代と同じ問題が発生する。エンジンがバタついて、おかしなくらい操縦系とそぐわない感じがするのだ。そして、そのエンジン音のわりには前に進んでいないような感覚にとらわれる。

その感覚は、決して長く尾を引くものではない。だが、走りにうるさいドライバーがこのクルマに試乗したら、購入を考え直そうと思うには十分だ。

ステアリングホイールに取り付けられた、見栄えのいいシフトパドルにも言いたいことがある。それらはほとんど飾りのようなもので、操作してもパワートレインの作動ぶりになんら影響しないことが多かった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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