フォルクスワーゲン新型「ゴルフGTI」 乗ったらやっぱり、死角なしの出来 その魅力とは?

公開 : 2022.04.08 18:15

オススメは、2通りの楽しみ方

現代の高性能モデルらしく低速から高速まで扱いやすく、街乗りも山岳路、高速道も悠々のドライブフィール。

駐車場などの極低速域ではクラッチワークに多少のぎこちなさを感じる事もあるが、普段乗りでも扱いやすい特性である。

低まった車高と専用スポーツサスペンションを採用するGTI。品のいい乗り味と絞まったフィーリングの両方を楽しめると筆者。
低まった車高と専用スポーツサスペンションを採用するGTI。品のいい乗り味と絞まったフィーリングの両方を楽しめると筆者。    前田惠介

気合いを入れて加速させても決して荒ぶらない。回す醍醐味とか昂揚感はあっても威圧感はない。

迫力という視点では薄味と言えないでもないが、粗暴なパワーはGTIに似合わない。同じワインディングでもスポーツモードを選択すれば中高回転維持のリズミカルな運転が楽しめる。

ふつうに走らせてDSGのメリットはあまり感じないのだが、スポーティな走り方では変速のリズムが小気味いい。もちろん、マニュアル変速も!だ。

つまり、フットワーク同様に品のいい快適なツーリングとキリッと絞まったスポーティな運転感覚を選択できるパワートレインなのだ。プレミアム感ある走りとツウ好みのファントゥドライブのどちらでもバランスのいい走りを示した。

「買い」か?

後席の設えもよく、大人4名が長時間のドライブを寛いで過ごせるキャビンスペースと内装。

荷室容量も現在の水準ならば同車格のワゴンと大差ないレベル。ハンズオフなどの近未来的機能はないが、先進安全&運転支援機能も完備。そこに汎用性高く洗練された走行性能。プレミアムコンパクトの高性能車として死角なしである。

実用的な広さの荷室。一通りのADASに加えて、試乗車は「駐車支援システム」「ヘッドアップディスプレイ」などを装備する「テクノロジー」パッケージも採用。
実用的な広さの荷室。一通りのADASに加えて、試乗車は「駐車支援システム」「ヘッドアップディスプレイ」などを装備する「テクノロジー」パッケージも採用。    前田惠介

今の時代、SUV系の台頭もあって特定用途向けの特徴あるいはプラスαの価値のあるモデルが注目され、「ふつうは2BOXやセダン」という価値感も過去のものとなりつつある。そういった側面の魅力に乏しいのも否定できない。

逆に考えるなら、特定の用途・嗜好に特化しなければ流行りに乗るより今も昔も変わらないクルマの魅力に投資するのもアリ。しかも、「ふつう」のカテゴリーのお陰で価格面でもリーズナブル。

GTIは車両本体で466万円、DCCなどをOP装着すれば500万円を超える。装備揃えなら標準系ゴルフのRラインの+100万円級。それでも走りの質感やツーリングでの信頼感や快適性にこだわるユーザーには納得価格。

走りにこだわって当然のモデルでこういった結論は詰まらないとも思うが、一般的なレシピでこそ料理人の腕前が映えるのと同じ。今さらゴルフGTIの感があっても、乗ってみれば唸らされるのもゴルフGTIなのだ。

VWゴルフGTI スペック

価格:466万円
全長:4295mm
全幅:1790mm
全高:1465mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:12.8km/L(WLTCモード)
CO2排出量:181g/km
車両重量:1430kg
パワートレイン:1984cc直4ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:245ps/5000-6500rpm
最大トルク:37.7kg-m/1600-4300rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名

クローム仕上げの2本出しエグゾーストパイプが放つサウンドは刺激的。試乗車は、DCCパッケージ(22万円)、テクノロジーパッケージ(17.6万円)、ディスカバー・プロパッケージ(19.8万円)を採用。
クローム仕上げの2本出しエグゾーストパイプが放つサウンドは刺激的。試乗車は、DCCパッケージ(22万円)、テクノロジーパッケージ(17.6万円)、ディスカバー・プロパッケージ(19.8万円)を採用。    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲン ゴルフの人気画像