満タン+満充電で何km走れる? ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド 800kmのクルマ旅 前編

公開 : 2022.05.21 09:45

合計約800kmを無給油で走る

ここは、オースチン・セブンの販売で得た利益をもとに、ポールとアンディというウッド兄弟が1967年に創業した場所。クラシックなロールス・ロイスベントレーに対する愛情を、空間としても表現されている。

最新モデルも扱っているが、ビジネスの魂は常にヘリテイジ・モデルにある。前回の訪問から数年が経ち、小さくない変化が生まれているはず。最新のベンテイガ・ハイブリッドと、彼らが保有するクラシックとの出会いは、素晴らしいものになるだろう。

ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド(英国仕様)
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド(英国仕様)

クルーにあるベントレーの本社からP&Aウッド社までは、幹線道路を使って約300km。そこからもう一度クルーに戻るまで、合計約800kmを走ることになる。

筆者の感覚としては、途中で1度駆動用バッテリーを充電すれば、ガソリンは無給油で走りきれると踏んだ。通常のベンテイガ V8が1度の満タンで走れる距離より160km以上長いことになるが、PHEVの能力なら叶えられるはず。

P&Aウッド社へ電話をかけると、アンディの娘でマネージング・ディレクターを務めるジョルジーナ・ウッド氏が出てくれた。イベントの準備で忙しいようだったが、いつもと変わらず訪問を歓迎してくれた。

「お茶を飲んで、クルマを眺めていってください。開業から54年かけて作り上げてきた、わたし達の文化です」。と。

燃費効率はV8エンジン版より50%向上

筆者は夜明け間際の運転が好きだ。出発は5時半。南北に伸びる高速道路、M6号線を使う。途中のサービスエリアで休憩を挟んでも、クルーの本社には8時40分に到着してしまった。エドレストンとも合流した。

待ち合わせは、ピムズレーン通りに面したCW1ハウスというベントレーのショールームに9時。それでも、スメドレーは既に待っていた。ハイブリッド・システムを説明する準備を整えた状態で。

クルーのベントレー本社で筆者の質問に答えてくれたジョン・スメドレー氏(右)とヨー・デュライ氏(左)
クルーのベントレー本社で筆者の質問に答えてくれたジョン・スメドレー氏(右)とヨー・デュライ氏(左)

彼と挨拶をすると、高電圧技術を専門とするヨー・デュライ氏も加わり、本格的な説明が始まった。彼女のキャリアは、ベンテイガ・ハイブリッドとともに築かれたとという。自信に満ちていながら、控えめだ。

4年間に及んだ開発は、小さな成果と呼ぶには有り余る。電圧313Vのシステムを搭載した超高級SUVを仕上げるには、深い知識と確信が求められるという、言葉にはないメッセージも受け取ることができた。

改めてコーヒーを飲みながら、PHEVの燃費効率の可能性について確認する。V8エンジンのベンテイガより、最大50%の向上が期待できるという。

話はモニターを中心とした、ガジェット類へ進む。ナビゲーション・システムと連携し、最も効果的に駆動用バッテリーの電力を設定ルート上で利用することが可能だという。単に、必要な電気を駆動用モーターへ供給しているわけではないのだ。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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