【詳細データテスト】BMW2シリーズ FRの魅力は健在 220iは日常使いに おすすめは230i

公開 : 2022.06.18 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

ここ最近で、奇数シリーズのクーペ的なモデルは、偶数ではじまる車名を与えられるようになった。3シリーズクーペは4シリーズ、X5のスロープルーフ版はX6、といった具合に。それは2シリーズも同様で、このモデルのルーツは1シリーズクーペだ。

というのは、ラインナップ全体における相対的なポジションの話。このG42型2シリーズクーペは、メカニズム的にみて前輪駆動となった1シリーズとの関連性は皆無だ。さらにいえば、同じ2シリーズを名乗っても、グランクーペやアクティブツアラーとはまったくの別物である。

見栄えのするエンジンルームではないが、4気筒が縦置きされた、後輪駆動ベースであることはよくわかる。6気筒の搭載も想定しているため、スペースには余裕がある。
見栄えのするエンジンルームではないが、4気筒が縦置きされた、後輪駆動ベースであることはよくわかる。6気筒の搭載も想定しているため、スペースには余裕がある。    LUC LACEY

プラットフォームは、3シリーズ以上のエンジン縦置きモデルが用いているCLARのショートバージョンだ。であれば、ハイブリッドやEVの設定も不可能ではないはずだ。ところが、いまのところそういうプランがあるという情報は聞こえてこない。

その代わり、エンジンのラインナップは3/4シリーズの昔ながらの部分からいいとこ取りしている。先代2シリーズクーペと同じく、レイアウトはエンジンをフロントに縦置きした後輪駆動。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクだ。

4シリーズと同じDNAを持ったがゆえに、2シリーズはかなり大きくなった。全長は+105mmの4537mm、全幅は+64mmの1838mm。E46系3シリーズクーペと比較しても47mm長く、1990年代末のE38系7シリーズに限りなく近い幅になっている。結果として、4気筒の220iでも、車両重量は1546kgに達している。

PHEVやEVが幅を利かせている世の中にあっては、さほど重く思えないかもしれないが、四輪駆動のアウディS3スポーツバックと比べると46kg重い。最近のBMWが、重量の問題を抱えていることは明らかだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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