【詳細データテスト】BMW2シリーズ FRの魅力は健在 220iは日常使いに おすすめは230i

公開 : 2022.06.18 20:25  更新 : 2022.07.11 06:58

走り ★★★★★★★☆☆☆

184psで1.5tの220iは、取り立てて速いクルマではない。0-97km/h加速は7.3秒で、いまやBセグメントのハッチバックでもこれより1秒は速い。

この発進加速タイムは、トヨタの先代86と同程度だ。とはいえ、トヨタと違ってBMWは、ターボエンジンを採用している。30.6kg-mのトルクは、86の2.0Lフラット4より9kg-mも太く、中間加速にはその差がはっきり表れている。

トルコンとは思えないレスポンスのATは、適切なモードを選べば変速タイミングも絶妙。ただし、ブレーキはどのモードを選んでも、スムースなコントロールができない。
トルコンとは思えないレスポンスのATは、適切なモードを選べば変速タイミングも絶妙。ただし、ブレーキはどのモードを選んでも、スムースなコントロールができない。    LUC LACEY

たとえば、4速・48−113km/hは、ギア比がややロングであるにもかかわらず、先代86より3.4秒速い。それはすなわち、路上での220iは、ゼロスタートの数字から想像するよりわずかながらも速く感じられるということだ。

にもかかわらず、われわれは230iこそが2シリーズクーペのスイートスポットだと考える。価格は3655ポンド(約60万円)高いが、61ps/10.2kg-mアップする。とくに、パワーもトルクも上がったGR86と比較するなら、なおさらこちらだ。

2シリーズクーペは全車、ZF製の秀逸な8速ATを搭載し、DCTだと勘違いしてもおかしくないくらい素早く変速する。パドル操作へのレスポンスや、スムースではないシフトの際にときどき発生するショックもそうだ。さらにいえば、エンジンのレスポンスにも、トルクコンバーターがすべっているような兆候はまったくない。

最新のBMWが軒並みそうであるように、この2シリーズも走らせ方をさまざまに変更できる。エコプロモードではレスポンスが鈍くなり、ノーマルはその名のとおりノーマルな印象だが、ギアボックスの設定はややモード燃費を最適化する目的が感じられる。結果、エンジンが無理をすることになり、洗練性が損なわれている。

スポーツモードではレスポンスが向上するが、セレクターレバーをスポーツモードに入れたときとは異なり、1段あたりのギアを長く引っ張りすぎることはない。スロットルレスポンスも鋭くなり、合成エンジン音が大きくなり、ステアリングの手応えが重くなり、ブレーキも過敏になる。

ただし、ブレーキの設定変更はまったくの無駄だ。ノーマルモードでさえ、このクルマを文句なくスムースにストップさせるのは難しい。

スポーツ・インディヴィデュアルを選ぶと、それぞれの要素を個別に調整することはできるが、効きのきついブレーキだけは別だ。これはフラストレーションがたまる。というのも、ギアボックスがベストなのはスポーツモードで、合成エンジン音も本当に気分を盛り上げてくれるからだ。直4でも直6でもなく、まるで昔のフォードにあったV4のような、おもしろみのある音色だ。

増幅されていないB48ユニットのサウンドは個性に欠ける。ただし窓を開ければ、ターボやエキゾーストの音がキャビンへ入り込んでくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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