DS 4 詳細データテスト 快適性は狙い通り ATの制御とブレーキペダルに難あり PHEVは高い

公開 : 2022.07.09 20:25  更新 : 2022.08.23 00:33

操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆

現代のDSは、快適性にガッチリ照準を合わせたブランドで、当然というべきか、そのぶんハンドリングにはしわ寄せが来ている。しかし、ドライバーが全員、峠を攻めるためにクルマを選ぶわけではない。

だから、まともなレベルのロードホールディングと予測しやすさが備わっていれば、必ずしも問題ではない。それを踏まえれば、4に文句はない。ただし、それ以上でも以下でもない。

スタイリングだけでなく、運動性でもドイツ勢とは違うところを見せるDS。この4はハンドリングに活発さはなく、すべてがほどほどに収まっている。
スタイリングだけでなく、運動性でもドイツ勢とは違うところを見せるDS。この4はハンドリングに活発さはなく、すべてがほどほどに収まっている。    JOHN BRADSHAW

テスト車は、アクティブスキャンサスペンション装着車で、フロントウインドウ裏に設置したカメラとサスペンションのセンサーを使って、前方のバンプに備える。DSの他モデルでは、その効果を確信できなかったデバイスだ。

このシステムが機能するのは、サスペンションのコントロールがソフトで緩めのコンフォートモード時のみ。バンプを超える際にはかなり波打つような動きがあるので、テスター陣の中には中間セッティングのハイブリッドモードのほうが好みだという声もあった。サスペンションとパワートレインの作動状況はノーマルモードといってもいいもので、ボディの挙動は穏やかになる。

写真でわかるように、4はシトロエン2CVのような過度にボディを傾けるクルマではないが、いまどきのクルマでこれほど大きな角度がつくものは多くない。このときはアクティブサスの効果を確かめるためコンフォートモードに入れていたが、スポーツモードでもボディコントロールはゆったりしている。

ロックトゥロック2.9回転のステアリングも緩やかで、あまり見かけないほどセルフセンタリングが強いフィーリング。シトロエンの熱狂的ファンならば、昔のハイドロモデルに搭載された操舵系のDIRAVIシステムを引き合いに出すかもしれない。しかし、そこまで過激にセンターへ復帰しようとするわけではない。

市街地のタイトなジャンクションで、脱出時にセンターへ引き戻してくれる動きを、好みだというテスターもいた。しかし、開けた道では混乱するという意見もあった。

コンフォートとハイブリッドの各モードでは非常に軽い手応えは、スポーツモードでもわずかに重くなるのみ。いずれにしても、フィードバックはまったくない。

205セクションのミシュランe−プライマシーは、ドライでもウェットでもまずまずのグリップを生むが、それ以上はない。コーナーを攻めても必ずしもフラストレーションが溜まるようなクルマではないが、この4でそれを試そうというドライバーは多くないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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