DS 4 詳細データテスト 快適性は狙い通り ATの制御とブレーキペダルに難あり PHEVは高い

公開 : 2022.07.09 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

スポーティさを装うことをやめたクルマであれば、快適性や静粛性の重要度は増す。全般的に見れば、DS 4はそういうものになっている。

なによりもまず、アダプティブダンパーとマルチリンクリアサスペンションを備える最上級仕様は、乗り心地の波長が長い部分が、現状のハッチバックでもっとも柔らかい。それが好みだとすれば、これに代わるものはない。

乗り心地はスポーティな挙動よりコンフォートさを強調した穏やかなものだ。ただし、コンフォートモードではソフトすぎる。快適に運転する上で問題になるのは、ペダルが遠すぎることだ。
乗り心地はスポーティな挙動よりコンフォートさを強調した穏やかなものだ。ただし、コンフォートモードではソフトすぎる。快適に運転する上で問題になるのは、ペダルが遠すぎることだ。    JOHN BRADSHAW

コンフォートモードのフワフワした乗り心地は、ちょっとやりすぎだと感じるドライバーもいるだろう。一度のストロークで、いくつものバンプをまとめて処理することはできない。ハイブリッドモードでは、もう少し高周波のパッター音が出るものの、より落ち着いた感じで、これこそまさに折衷案といえるものだ。

なにをもって完璧と言うのかは難しいが、路面のえぐれや補修のお粗末な路面は、ほかのクルマよりうまく呑み込んでくれる。われわれとしては、17インチホイールとアダプティブサスペンションを備えるバスティーユ・プラスをぜひとも試したいが、残念ながら英国には導入されていない。

遮音性は、このクルマの快適性におけるグッドニュースだ。113km/h巡航時の64dBAという数字は、ハッチバックとしてはかなり静かだ。A250eは、これより4dBA大きい。低速域でも同じことで、サスペンションノイズも抑えられている。

ただし、ひとつだけ欠点がある。運転席のレッグルームが驚くほど狭く、ペダル位置が遠いのだ。ステアリングコラムはまずまず十分な調整幅があるものの、それだけではカバーしきれない。

シートを前にスライドすればいいので、背の低いドライバーなら問題はないだろう。しかし、脚が長くシートを下げるともも裏のサポートが足りなくなる。その場合は、電動シートへのアップグレードが必要となる。手動シートには、座面のチルト機構が備わらないからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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