【詳細データテスト】モーガン・スーパー3 色濃い三輪の味わい 意外に魅力的なエンジン 雨は御用心

公開 : 2022.11.19 20:25  更新 : 2022.12.02 04:01

意匠と技術 ★★★★★★★★★★

パッと見ただけでは、スーパー3は2012年に登場した3ホイーラーの単なるアップデート版としか思えないだろう。しかし、現在のモーガンモーターカンパニーは、このクルマの見た目が示唆するほど保守的な会社ではない。

全面新設計のスーパー3は、かつての3ホイーラーより、むしろプラスシックスやエアロ系といったモデルに近い要素を持つ。スティールのチューブフレームとは決別したばかりか、モーガン最大の伝統ともいうべき、ボディパネル保持用のウッドフレームすら使用していないのだ。

エンジンはフォード製で、1.5L直3自然吸気。鼻先にVツインを露出した3ホイーラーより一般的なレイアウトとなった。
エンジンはフォード製で、1.5L直3自然吸気。鼻先にVツインを露出した3ホイーラーより一般的なレイアウトとなった。    LUC LACEY

その代わりに採用されたのが、接着工法のアルミモノコックと、応力担体でもあるスーパーフォーム工法のボディパネルだ。鼻先に積んだVツインも姿を消し、その穴埋めをするかのように、モーガンは数多の技術をこのクルマに注ぎ込んだ。

新たな三輪モーガンの前端には、エンジンではなく、さまざまな機能が盛り込まれたソリッドの鋳造アルミ部材が設置される。エンジンマウントであり、プルロッド式サスペンションのピックアップポイントであり、さらにヘッドライトのサポートも兼ねるコンポーネンツだ。この構造のもっとも賢明なところは、ラジエーターを積むサイドポッドへダイレクトに気流を取り込めることである。

こうなることは必然だった。というのも、モーガンといえどもいまやエミッション規制をすり抜けることは不可能で、S&S製の旧式なVツインではそのために打てる手がもはや残されていないからだ。

そこで新たに用意されたエンジンが、フォードの1.5Lエコブーストを自然吸気とした直3ユニットだ。モーガンではドラゴンの愛称で呼ぶこのエンジンは、ホイールベース内に搭載され、カウルで覆われている。

その後方のドライブトレインは、変革したというよりは巧妙に改良されたというほうが当てはまるものだ。5速MTのギアボックスは、旧型のマツダロードスター用。駆動力がプロペラシャフトを介して送り込まれるベベルギアボックスは、改良を受けてノイズが低減した。

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンで、インボード式のダンパーとスプリングをプルロッドで作動させる。それでも、オープンホイールスタイルは空気抵抗が大きく、Cd値は0.59となっている。

タイヤは大幅に見直された。3ホイーラーは既製品を装着していたが、スーパー3ではエイヴォンと専用品を共同開発。トレッドパターンや構造を、二輪用より三輪に適したものとした。

ホイールもまた、よく考えられている。ターボファンスタイルのディスクホイールはディッシュ的なルックスを維持しながら、かなり大きなオフセットを許容する構造だ。

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