「V6」なき新世代、レクサスRXはどう変わったの? 3つのパワートレインに乗った

公開 : 2022.12.26 20:45

RX500h 新システムの見所は?

前述の350系と450h+の特徴を兼ね備えるのが500h。

というかスプリット式ハイブリッドの感覚的なスポーツ性と相性の悪さを埋めるべく開発されたのが同車のパワートレイン。トヨタ系ハイブリッドでは久々の新システムだ。

レクサスRX500h Fスポーツ・パフォーマンス(ソニックカッパー/AWD/900万円)
レクサスRX500h Fスポーツ・パフォーマンス(ソニックカッパー/AWD/900万円)    宮澤佳久

500hのスポーティフィールの核はやはり2.4Lターボ。そこを、トルコンを油圧多板クラッチに置き換えた新型6速ATが盛り上げる。

急加減速時のドライブフィールは350系に近く、ターボの加速の高まりや高回転の伸びをステップ変速で小気味よく繋いでいく。

遊星ギア式変速に電動後輪駆動を併用するパラレル式なので、アップシフト時の加速途切れはないのだが、変速の「小気味よさ」と「滑らかさ」を高水準で両立させているのが妙味。

一方、穏やかなアクセルコントロールで走らせている時は、450h+ほどではないが巡航ギア維持範囲を広く電動アシストを利した“力感あるドライブフィール”と“EV走行の静かさ”も楽しめる。

WLTC総合モード燃費は、450h+の約23%減となる14.4km/L。燃費自慢ではないが、一ケタ燃費でも仕方ないクラスで操る昂揚感などファントゥドライブを深めていることを考慮すれば十二分だ。

5代目はどんな乗り心地?

新型の外観初見の印象は「控え目」。

レクサス車の特徴となっていたスピンドルグリルの上部を車体同色のエンボス様としたことが大きいのだろうが、何とはなしに穏やか路線にシフトしたかな、と思ってしまった。

レクサスRX500hの前席(内装色:Fスポーツ・パフォーマンス専用ブラック)
レクサスRX500hの前席(内装色:Fスポーツ・パフォーマンス専用ブラック)    宮澤佳久

フットワークは昨今のRXでも最も乗り心地に配慮したものだった。

乗り心地最優先とまでは言わないが、235/50R21タイヤを装着しているにも関わらず、段差付き上げ等の路面からの衝撃が抑えられている。

サスが凹凸に細かく追従していくような乗り心地だ。

ただ、よく言えば軽快だが、サイズや車重を混じさせる“重質な味わい”、あるいはしっとりとした“据わりのよさ”はあまり感じられないのが多少気になった。

ハンドリング/装備について

軽快感はハンドリングには好影響。

速度域の高低、コーナリング半径や舵角の大小による操縦感覚の変化が少なく、操舵に対して穏やかなラインコントロール性を示した。

レクサスRX500h Fスポーツ・パフォーマンス(ソニックカッパー/AWD/900万円)
レクサスRX500h Fスポーツ・パフォーマンス(ソニックカッパー/AWD/900万円)    宮澤佳久

走行状況に応じて減衰力を適切に管理するナビAI-AVSの効果もあるのだろうが、同装備を装着しない350バージョンLのFF車でも同様の特性を示す。

重さ負けせず車体挙動の収束も良好。ワインディング路の扱いでは、従来型よりも一回りコンパクトになったように思えたほどである。

キャビンユーティリティは従来車と大きく変わらず、シート仕様は2列5名定員のみ。

上位設定モデルにはスマホによるリモコン操作での駐車を可能とするリモートパークを採用するなど、安全&運転支援機能はレクサス/トヨタの最新仕様。この辺りは正常進化といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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