トヨタ・ハイラックス 詳細データテスト オンよりオフの走りで本領発揮 乗り心地には改善の余地あり

公開 : 2023.03.11 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

さまざまな音源からの盛大なノイズや、キャビン後方をすっぱり切り落としたピックアップというボディ形状ゆえ、マナーのいいクルージングは望むべくもない。ただし、我慢できないようなものではまったくもってない。

穏やかな天候の中、113km/h巡航で計測した室内騒音は67dBAだった。乗用車でも、これより悪いものはごまんとある。エンジンは、回せばうるさいが、低回転で流している限りならかなり静か。大きなドアミラーからは風切り音も出るが、許容範囲内。計測結果に大きく影響するほどではなかった。

よほど回さなければエンジンは静かで、風切り音も見過ごせるレベル。問題は乗り心地だ。高速道路ならまだしも、路面がうねっているようなところでは落ち着かない。
よほど回さなければエンジンは静かで、風切り音も見過ごせるレベル。問題は乗り心地だ。高速道路ならまだしも、路面がうねっているようなところでは落ち着かない。    LUC LACEY

ハイラックスGRスポーツの、巡航時の快適性における最大の障害は、やや落ち着きのない乗り心地にほかならない。トヨタはこのハイラックスにトルクマネージメントシステムを装備し、ボディのピッチやバウンスをスムースにするべく、気づかないくらいの微妙なスロットル調整を行っている。

それでも、テスト車を走らせた限り、その効果を感じるのは難しかった。高速道路ではまずまず乗り心地がよかったものの、田舎道に入るとそれがすぐに乱れる。市街地でも、大きめの路面の凹凸はこなしきれなかった。

シートは幅広く快適で、横方向のサポートもほとんどの場合で不足はない。Aピラーのグリップハンドルは、高いシートへ乗り込む助けになってくれるだけでなく、オフロードでは身体を支える役にも立ってくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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