1987年:ランチア・デルタ HFインテグラーレ

四輪駆動のデルタが登場したのは1985年。大きなターボでパワーアップを図り、ワイドなフェンダーラインで戦闘力を高めたHFインテグラーレが登場したのは、1987年だ。

戦闘力は非常に高く、世界ラリー選手権のグループAカテゴリーでは印象的な強さを披露。公道用モデルも不足なく速かった。

1987年:ランチア・デルタ HFインテグラーレ
1987年:ランチア・デルタ HFインテグラーレ

このHFインテグラーレの性能を支えていたのが、ファーガソン社製のセントラル・ビスカスカップリング・システム。グループBマシンの、デルタS4に積まれたシステムの派生版といえた。

デルタは1994年に生産が終了されるまで進化を続け、世界ラリー選手権では1987年から1992年までに6度のマニュファクチャラー・タイトルを獲得。ステージイベントでは46度の勝利を飾っている。

1987年:ポルシェ959

1986年にグループBカテゴリーが終了したことで、大きな影響を受けた1社がポルシェだ。四輪駆動の959は世界ラリー選手権を前提に開発が進められていたが、突然活躍の場を失ってしまった。

それでも限定的に市販された959は、ポルシェの高度な技術が投じられ、当時最も大きな存在感を放ったスーパーカーの1台といえる。2.8L水平対向6気筒ツインターボ・エンジンは450psを発揮。知的な四輪駆動システムを採用し、駆動力を自在に制御した。

1987年:ポルシェ959
1987年:ポルシェ959

さらにシーケンシャル・ターボチャージャーは、ターボラグを最小限に抑制。0-100km/h加速3.7秒、最高速度317km/hを実現させていた。

1989年:ランドローバー・ディスカバリー

ランドローバーにとって、初代ディフェンダーレンジローバーと同じくらい重要なモデルといえるのが、初代ディスカバリーだろう。日本やアメリカで生産される、普段使い前提の四輪駆動モデルへ対抗できる、自社のモデルギャップを埋める存在だった。

シャシーやサスペンション、四輪駆動システムはレンジローバーと同じ。それにより、オンロードでもオフロードでも、ライバルに勝る能力を発揮した。

1989年:ランドローバー・ディスカバリー
1989年:ランドローバー・ディスカバリー

悪路では、ローレシオを備えたトランスファーが活躍。燃費に優れトルクの太いディーゼルターボエンジンも当初から用意され、実用性を求める多くのユーザーを惹きつけた。

1993年:ランボルギーニディアブロ VT

V12エンジンの有り余るパワーを路面へ伝え、限界時の操縦性を高めるべく、ランボルギーニがディアブロへ与えたのが四輪駆動システム。VTとは、ビスカス・トラクションの略となる。

ビスカス式のセンターデフを備え、トルクの最大25%をフロントアクスル側へ伝えることを実現。ディアブロ VTではパワーステアリングが標準装備で、ブレーキもアップグレードされ、ランボルギーニの狙いは見事に体現されていた。

1993年:ランボルギーニ・ディアブロ VT
1993年:ランボルギーニ・ディアブロ VT

このVTは、ディアブロ・シリーズで最も高い人気を獲得。2001年に、四輪駆動が標準となったムルシエラゴへバトンタッチしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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