メルセデス・ベンツAクラス 詳細データテスト 電動化の恩恵は大 速さも燃費も向上 静粛性は要改善

公開 : 2023.06.03 20:25  更新 : 2023.06.09 13:27

走り ★★★★★★★★☆☆

マイナーチェンジモデルがロードテストの対象になることはそれほど多くない。それも、改良前にテスト済みであればなおさらだ。それでも、今回は改良前後いずれもテスト対象とすることを決めた。48Vマイルドハイブリッドの有無が、最新の内燃エンジンにどのような効果をもたらすか、はっきり示すことができるだろうと考えたからだ。

この手のシステムは、経済性を大きく引き上げるものではないし、公称の最高出力は上がっていない。2018年の登場時と同じ163psのままだ。しかしピークトルクは、2.1kg−m高まっている。これは新たに加わったスターター・ジェネレーターによるものだ。

マイルドハイブリッドの恩恵は顕著で、低回転域におけるエンジンの不足を補い、加速性能の少なからぬ向上をもたらしている。
マイルドハイブリッドの恩恵は顕著で、低回転域におけるエンジンの不足を補い、加速性能の少なからぬ向上をもたらしている。    MAX EDLESTON

その恩恵で、ゼロヨンと48−113km/hのタイムは0.5秒以上短縮された。さらに、固定ギアでの32km/h刻みの中間加速タイムも、だいたい0.5秒くらいずつ縮まっている。このパフォーマンスの向上は、運転していてもそれとはっきりわかるほどだ。さらに、レスポンスやドライバビリティが高まり、速さもシャープになった印象がある。

DCTをベストに働かせるには、ちょっとした注意と、鋭めなスロットル操作が必要に感じる。最初の加速テストはやや遅かったが、トランスミッションがフルスロットルでのテスト方法になじむと、クラッチをより素早く積極的に使うようになり、0−97km/hで8秒を切ることができた。

日常的なドライビングでは、このギアボックスのキビキビしたクラッチ使いに、取り回し時、とくに穏やかな動き出しが求められる場面で、ちょっと苛立ちを覚える。とはいえ、普通に走っていれば、変速の状況はよくなる。キックダウンでわずかなためらいを見せるが、マニュアルモードならよりスマートにシフトできる。

ハイブリッドシステムはまた、1.3Lユニットが見せる低回転時のやや緩いスロットルレスポンスを、効果的に隠してくれる。シフトダウンしなくても、実用面で不足のない勢いをもたらしてくれるのだ。

そのため、今回のA200はほとんどの場合に、じつに元気で激しく走るように感じられる。もっとも、4500rpm以上での回り方がイマイチなのは相変わらずだ。

とはいえ、メカニカルな洗練性がよく感じられるのは低中回転域だ。新型スターターモーターは、アイドリングストップと再始動をスムースに行ってくれる。ブレーキのパワーとペダルフィールも良好だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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