メルセデス・ベンツAクラス 詳細データテスト 電動化の恩恵は大 速さも燃費も向上 静粛性は要改善

公開 : 2023.06.03 20:25  更新 : 2023.06.09 13:27

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

マイルドハイブリッドシステムは、Aクラスの重量を微増させているが、それでもそこそこコンパクトで重心が低いハッチバックだ。テスト車の実測重量は、1400kgを切っている。

これより重いEVやPHEVが市場にあふれている状況を考えると、もっと重い電動化仕様を選ばない限り、Aクラスにはダイナミクス面のアドバンテージあるといえる。事実、マイルドハイブリッド仕様のハンドリングには確かなものがある。

5年前の改良前モデルより速くなったA200は、俊敏さも増した。快適性との妥協点も、高いところにある。
5年前の改良前モデルより速くなったA200は、俊敏さも増した。快適性との妥協点も、高いところにある。    MAX EDLESTON

標準装備されたローダウンスプリング付きサスペンションは、良好なボディコントロールと、歯切れのよいシャシーのレスポンスをもたらす。また、AMGラインの18インチホイールとブリヂストン製タイヤは、強力でバランスに優れたグリップを生む。

ステアリングのペースは直感的で、手応えはほどほどに重く、フィールはそこそこ。これらが相まって、気持ちよく走ることができる。トラクションやハンドリングの正確さは潤沢にあり、いわゆるシャシーがパワーに勝っている状態。ローパワーのパフォーマンスカーはこうあってほしい、というようなものになっている。

A200のシャシーは、限界域を探るような走りにおいて、スロットルによるハンドリングのアジャストが自在に効くわけではない。その代わり、ドイツのプレミアムブランドにありがちな、揺るぎないスタビリティがある。

それでも、スタビリティコントロールとトラクションコントロールはたしかに、かなりのコーナリングスピードを許容し、コーナー脱出時のハードな加速を殺すこともない。前輪のトラクションが、エンジンのトルクを上回っている限りは、だが。

日常的な運転では、ハンドリングは十分に刺激的でエネルギッシュで、ジャンクションやラウンドアバウトでは俊敏に感じられる。それでいて、高速道路の速度域で路面をしっかり捉えているフィールにも不足はない。

このクルマの運動性のスポーツ志向なキャラクターには、快適性や洗練性との妥協を強いられたと思わせるところがないわけではない。それでも、これほどうまくバランスをとっているクルマはめったにない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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