マセラティ・グレカーレ 詳細データテスト 運転を楽しめる駆動系 サスはソフトすぎる もう少し安く

公開 : 2023.10.28 20:25  更新 : 2023.11.10 06:01

内装 ★★★★★★★☆☆☆

インテリアには、ひとつ重大な疑問がある。これほどラグジュアリーなSUVのオーナーが、頻繁に手を触れる部分がフィアット500のように安価なクルマと部品共用しているのを気にしないのだろうか。ドアオープナーのボタンもそう。ペダルやコラムレバーはアルファ・ロメオと同じものだ。マルチメディア用画面は、これもフィアット500と同じ。シフトポジションボタンはフィアットのものそのままではないが、似たところを感じさせ、満足感はやや低いかもしれない。

どのパーツも安っぽいわけではないし、ベントレーだってアウディのコラムレバーを使っていたりする。とはいえ、グレカーレのオーナーならフィアット500をセカンドカーにしているかもしれないし、であれば共用部品をもっとうまくわからないようにできなかったのかと思うかもしれない。

質感の高い素材や最新のデジタルデバイスを採用したグレカーレ。ただし、フィアット系のパーツを共用しているところも目につく。
質感の高い素材や最新のデジタルデバイスを採用したグレカーレ。ただし、フィアット系のパーツを共用しているところも目につく。    JACK HARRISON

ありがたいのは、グレカーレにはそれ以上に魅力的な部分が多いことだ。インテリアのデザインは控えめで見栄えがよく、マテリアルは最高級。ソフトなレザーを数種類組み合わせ、きれいなステッチが入り、リアルな金属パーツも使用している。

興味深い独創的なタッチも見られる。ツヤのあるカーボンは、高級車には場違いに思えるかもしれないが、テスト車はざらついた手触りのマットカーボンを用いていて、ウッドに代わる素材としても魅力的だ。

マセラティは、ダッシュボード上部に設置されたクラシックなアナログ時計も再解釈。クラシックな時計だけでなく、他の機能や情報も表示できる円形ディスプレイとなった。

これは2020年代のマセラティで、最新テクノロジーを多数盛り込まれている。現代的なフルデジタルメーターもそのひとつで、鮮明で操作しやすく、まずまずのカスタム性もある。もっとも、とくに印象的というほどではない。

二次的な操作系もデジタル化が進み、メインのインフォテインメントディスプレイの下にサブ画面を設置。空調やエアサスペンションの車高調整、ライトや駐車センサーなどを操作できる。アウディ的なデバイスで機能性は上々だが、メーター同様にマセラティらしいものではない。

グレカーレのキャッチフレーズは日常的な特別。530psあろうとなかろうと、基本的には日常使いできるファミリーカーであり、その点ではみごとなクルマだ。シフトセレクターボタンの採用で、センターコンソールにはスペースが生まれ、小物入れやドリンクホルダーに不足はない。

ライバルより長いボディは、室内スペースにも有利だ。後席は身長180cmの乗員も快適に過ごせて、ヘッドルームもまずまずあり、レッグルームはライバル以上。フロントシート下への足入れ性もいい。

ラゲッジも必要十分。積載容量が最大となるのはV6トロフェオで、ハイブリッドに対して、48Vバッテリーがないぶん、35L大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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