乗り心地と操縦性の変化は? トヨタ・スープラ 3.0(RZ) 長期テスト(1) FRでMTという希少な1台

公開 : 2023.11.18 09:45

FRにMTという希少な組み合わせのスープラ 再調整されたシャシーの印象は? 長期テストでその魅力を再び掘り下げる

初回 筆者を誘惑し続けてきたスープラ

ある日、英国トヨタの広報担当者から英国編集部へ電話がかかってきた。「マニュアル・スポーツカーに関する比較試乗の記事を、先日お読みしました。1台お忘れのようですが、むしろ好都合だったかもしれません」。と話す。

続けて、「そこで、スープラ 3.0のマニュアル車を、数か月ほど長期テストにいかがでしょう」。と提案された。不意の連絡ではあったが、お断りする理由は見当たらない。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

現行のトヨタ・スープラは2019年に発売されたが、筆者を誘惑し続けてきた1台だ。試乗では、ドライビング体験以上に、1990年代のA80系を想起させるスタイリングと、FRスポーツカーというアイデアをとても気に入った。

ステアリングはアシストが強く、ダイレクト感が欠けるように感じられた。8速ATは、シリアスな走りには余り適さないように思えた。しかし、トヨタは発売以来改良を重ねている。当初2枚のみだったペダルは、3枚も選べるようになった。

スープラを、改めて長期テストで評価するのに悪くないタイミングだろう。既にある程度の距離を重ねた車両だから、期間中にオイル交換が必要になるはず。トヨタ・ディーラーのサービス内容を体験できるし、維持コストがどの程度なのかも確かめられる。

ZFの6速MTにBMWの3.0L直6ターボ

こでA90系スープラをおさらいしておくと、2019年に英国で発売されたのが、3.0L直列6気筒エンジンと8速ATを搭載したモデルだった。2021年に、2.0L直列4気筒版が追加。2022年に、直6エンジンと6速MTが組み合わされた仕様が上陸している。

トヨタは、スープラにMTを当初から計画していた。トランスミッションのサプライヤー、ZF社へ確認を取ると、開発が概ね終わっていながら他のモデルへ実装されていない、好適なユニットがあると判明。改良を加え、採用が決まったらしい。

トヨタ・スープラ 3.0と筆者、マット・ソーンダース
トヨタ・スープラ 3.0と筆者、マット・ソーンダース

この6速ユニットを、完全に仕上げるのには時間を要した。そのため、市場投入は遅れたようだ。

6速MTと組み合わされるエンジンは、BMW由来の3.0L直列6気筒ターボ、B58型のみ。イネオス・グレナディアやモーガン・プラスシックスなどにも登用されている、多能なユニットだ。ミュンヘンのブランドでも、最も人気の高いエンジンだといっていいだろう。

そして、スープラも直列6気筒ターボを代々搭載してきた。最新版でも選べなければ、ファンの納得は得にくかったはず。Mモデルへ積まれる直6のように、圧倒的なパワーや柔軟性は備わらないものの、B58型とA90系スープラとの相性は悪くない。

筆者がステアリングホイールを握り始めて数日しか経っていないが、不満なく速い。トルクも太く、気持ち良く回る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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