単調な日々が楽しく変わる トヨタ・スープラ 3.0(RZ) 長期テスト(2) 斜め後方の死角に悩む

公開 : 2023.12.16 09:45  更新 : 2024.02.01 07:42

FRにMTという希少な組み合わせのスープラ 再調整されたシャシーの印象は? 長期テストでその魅力を再び掘り下げる

積算1万6067km タイヤの空気圧を変えてみる

トヨタスープラへ乗り始めて1600kmほど。タイヤの空気圧調整に、最近は時間を取っている。標準で履くミシュラン・パイロット・スーパースポーツは、非常にグリップ力へ優れるものの、もう少し自由度の広い操縦性を与えたいと考えたからだ。

いろいろ試した結果、気温が低い時はフロントが2.5bar、リアが2.1barが望ましい様子。高速道路では少しタイヤノイズが大きくなるものの、それを我慢するのに不足ない楽しさが追加される。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

積算1万7855km 雨の日はリアワイパーが欲しい

トヨタ・スープラにはリアワイパーがない。空力特性ではメリットがあるのかもしれないが、実用上のデメリットは否定できない。

そもそもリアガラスが狭く、後方視界は限定的。雨が降ると大きく傾斜したガラスに水が流れ残り、バックミラーは殆ど意味をなさなくなる。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

積算1万9817km 笑顔で鍵が返ってくる

6速MTを搭載したトヨタ・スープラ。長期テストの担当者が、今回から筆者、ジェームス・アトウッドへ変更になった。ただし、英国編集部では人気のクルマの1台で、週末に借りたいと申し出るスタッフは少なくない。実際のところ、殆ど乗れていない。

同僚は、グレートブリテン島の西部まで足を伸ばしたり、ドーバー海峡を越えてベルギーまで小旅行を楽しんだりしているが、残念ながら筆者はまだ。借りていった面々は、全員笑顔で鍵を返してくれる。それだけ楽しんだ、ということだろう。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

実用的な2シーターのスポーツクーペ

最近の筆者は、少し遠回りでの通勤と、スーパーマーケットへの買い物、ヒースロー空港までの往復くらいしかできていない。グレートブリテン島の南西部、サマセット州に住む家族へ会いに、高速道路のM4号線とM5号線を使ったのが1番の遠出だ。

どれも平凡な自動車移動といえるが、スープラへ乗るたび、気分を上げてくれることは間違いない。退屈な目的で乗り込んでも、楽しくなってしまう。

トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)
トヨタ・スープラ 3.0(RZ) マニュアル(英国仕様)

2シーターのスポーツクーペとして考えると、実用的でもある。ボンネットは長めだが、サイズ感を掴めば市街地でも取り回しは難しくない。狭い駐車場にも、悩むことなく停められる。

さほど広く見えない荷室も、空間を考えて荷物を並べれば、想像以上に積める。長期旅行などでは、硬いスーツケースではなく、柔らかいバッグを選んだ方が良いとしても。

カーブの多い道を楽しめるが、高速道路も快適。クルーズコントロールをオンにすれば、淡々と距離をこなしてくれる。乗り心地はしなやかで、低い位置のシートは長時間座っても疲れにくい。

ただし、日常的に乗っていると気になる部分も出てくる。リアピラーが太く、斜め後方の視界が少々悪いことが、まず1つ。両側にSUVが止まった駐車場からバックで出る場合などでは、後ろの状況を見てくれる人を立てたくなる。バックカメラが使えるとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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