「異なる時間」が始まるDOHC アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータス(2)

公開 : 2023.12.17 17:46

確実に高い走行時の洗練度

インテリア・デザインも、ボディと同様にエレガント。フォードの実務的な雰囲気とは異なる。

握りやすい位置へ、ディープコーンのウッドリム・ステアリングホイールが伸びる。大きな2枚のメーターは見やすく、ヒーターの操作パネルが配されたセンターコンソールから、長めのシフトレバーが斜めに突き出ている。

アルファ・ロメオ2000 GTV(1971〜1976年/英国仕様)
アルファ・ロメオ2000 GTV(1971〜1976年/英国仕様)

そんな好印象は、エンジンを目覚めさせると増長する。同様にツイン・ウェーバーとツインカム・ヘッドが組まれた4気筒だから、放たれるサウンドはコルティナ II ロータスに近い。しかし、より落ち着いている。

フロアから伸びるペダルは、少々慣れが必要。位置が近く、ステアリングホイールへシートを合わせると、膝を大きく曲げる必要がある。2000 GTVのドライビングポジションは、アルファ・ロメオらしい。

発進させると、滑らかなシフトフィールが気持ちいい。シフトレバーのストロークは長いが、機械的な感触が左手へ伝わる。外界との隔離性は高く、走行時の洗練度は確実に高い。カーブが連続する道で、長時間過ごすのにも向いている。

意欲的に旋回させると、ある程度のボディロールが生じる点で、コルティナ II ロータスと似ている。だが2000 GTVは安定している。途中に隆起部分が存在しても、リアアクスルは暴れにくい。

リミテッドスリップ・デフが標準装備され、タイトなヘアピンもお手のもの。脱出加速でパワーを展開しても、内側のタイヤはスピンしにくい。

喜んで選びたい価格以上の価値

2000 GTVで惜しいポイントが、設計の古い再循環ボール式のステアリングラック。期待するほど、一体感を高める手応えは得られない。

最高のツインカム4気筒エンジンが、それを補う。高回転域へ迫るほど咆哮を強め、控えめな5700rpmのレッドラインへ向けてパワーを高める。5速マニュアルの望ましいギア比のおかげで、必要に応じて回転数を維持しやすい。

ホワイトのフォード・コルティナ II ロータスと、アイボリーのアルファ・ロメオ2000 GTV
ホワイトのフォード・コルティナ II ロータスと、アイボリーのアルファ・ロメオ2000 GTV

当初の疑問、コルティナ II ロータスの2倍の価格へ納得する体験が得られるのか、の答えはイエス。1750 GTVと僅かに異なる2000 GTVだとしても、ドライブトレインの完成度やインテリアの洗練度の優位性は否定できない。動的特性でも差をつけている。

反面、準備できる予算がその半分だとしたら、筆者はコルティナ II ロータスを喜んで選ぶだろう。価格以上の価値があり、今でも英国人の心をくすぐる、小さなフォードだ。

協力:クラシック&スポーツカー・センター・マルトン、オリバーズ・オン・ザ・マウント・カフェ&バー

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータスの前後関係

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