日産「デュアリス」次期型、大胆スタイルのEVに 価格はエンジン車並み 欧州で独自進化 

公開 : 2023.12.10 06:05

・日産が欧州向けに販売する人気SUV、キャシュカイの次期型はEVに。
・大胆なハイパーアーバンをデザインのベースに。英国で設計、製造。
・電動化しても価格は現行エンジン車と「同等」を目指す。

次世代EV エンジン車と同等価格を目指す

日産は、欧州向けのコンパクトSUVであるキャシュカイの次期型をEVとし、英国で設計・製造する予定だ。

2006年に発売されたキャシュカイは、実用性とエッジの効いたスタイリングを兼ね備え、コンパクトSUVの流行の火付け役となった。初代モデルは日本でも「デュアリス」として販売されたが、その後欧州で独自の進化を遂げ、最新の第3世代モデルは2021年に発売された。昨年は英国でベストセラーとなるなど、高い人気を誇る。

デュアリスは欧州で「キャシュカイ」として進化を遂げた。(画像は編集部作成、次期型予想CGイメージ)
デュアリスは欧州で「キャシュカイ」として進化を遂げた。(画像は編集部作成、次期型予想CGイメージ)    AUTOCAR

第4世代となる次期型は、ジャパンモビリティショー2023で公開されたハイパーアーバン・コンセプトからインスピレーションを得て、ロンドンにある日産のデザインスタジオでスタイリングされる予定だ。

ハイパーアーバン・コンセプトの大胆に角ばったエクステリアは市販車でもある程度踏襲される見込みだが、先鋭的なインテリアはトーンダウンされるだろう。

キャシュカイには現在、ガソリンエンジン車とハイブリッド車の複数のパワートレインが用意されているが、次期型ではEVのみの設定となる。しかし、日産の内田誠CEOは、現行型と同等の価格帯で発売することが「日産の目指していること」だと語った。キャシュカイは現在、英国で3万ポンド(約540万円)弱から販売されている。

内田CEOは、EVとICE(内燃エンジン)車の価格を同等にするのは難しいことだと認めた上で、次のように述べている。

「一方ではスケールについて議論し、もう一方ではサプライチェーンを確立する必要があります。日産は、EVをICEと(価格面で)均衡させる方法を検討している段階です。各国の規制が同じペースで動いているわけではないので、難しい議論です」

英国で設計・製造 バッテリーは?

キャシュカイの生産工場は、英サンダーランドにある。日産は最近、ジュークリーフの後継車とともに、キャシュカイの後継車製造のために最大20億ポンド(約3600億円)の投資を行うと発表した。これを基に、ロンドンでのスタイリング作業、クランフィールドのテクニカルセンターでの開発およびプロトタイプ製作、そしてサンダーランド工場の改修・準備などを進めていく。

次期型キャシュカイの詳細についてはまだ定かではないが、ルノー・日産・三菱アライアンスのCMF-EVプラットフォーム(C/Dセグメント車向けのEV専用車台)を使用する予定だ。このプラットフォームはすでにルノーのメガーヌとシーニックで採用されており、ジュークとリーフの次期型にも採用される。

日産ハイパーアーバン・コンセプト
日産ハイパーアーバン・コンセプト    日産

駆動用バッテリーはサンダーランドで製造される予定で、日産のパートナーであるAESC(旧エンビジョンAESC)は、同地に3か所目のバッテリー・ギガファクトリーの建設を計画している。両社は現在、LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーに注力している。

次期キャシュカイで重要な課題となるのが、効率の最大化である。日産の欧州研究開発責任者であるデビッド・モス氏は、効率を最大化するために、これまでのモデルよりも「エアロダイナミクスに多くの注意を払っている」と本誌の取材で語った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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