BMW自動運転レベル4実験車、日本初公開 「iネクスト」名義で挑戦 まずはレベル3実用化へ

公開 : 2019.10.30 17:50  更新 : 2021.10.09 23:53

BMWが次世代技術プロジェクト「iネクスト」のなかで、レベル4の自動運転の実証試験を進行中。レベル3の壁はかなりのもの。さらにレベル3と4の溝も大きいです。BMWのビジョンを国内で桃田健史が聞きました。

BMW iネクスト 新たなるチャンレンジ

text:Kenji Momota(桃田健史)

BMWが次世代技術に関するプロジェクト「iネクスト」のなかで、レベル4の自動運転の実証試験を進めている。

自動運転のレベルには、1から5までの5段階あるが、実用化をするうえで大きなハードルとなるのが、レベル3の壁だ。

自動運転はレベル3の実用化で、まず大きな壁。
自動運転はレベル3の実用化で、まず大きな壁。

レベル3以上では、運転の主体が運転者ではなくクルマのシステムになるからだ。

レベル3では、運転席に人が常に座り、クルマのシステムが自動運転を継続できなくなった場合、手動運転に変わることも想定している。

一方、レベル4以上になると、運転席に人が座る必要がなくなる。

今回、BMWジャパンが日本で初公開した、7シリーズを使ったレベル4実験車両であるため、実験中は運転席に人はいない。

実際の利用ケースを想定して動画では、スマホを使って駐車場からレベル4自動運転でクルマを呼び出していた。

BMWジャパンのクリスチャン・ヴィードマン社長は「EVや自動運転など最先端の次世代技術を最大限に活用して、BMWのプレミアムブランドとしての価値をさらに高めていきたい」と抱負を述べた。

次いで、自動運転の詳細については、BMWデベロップジャパン本部長とルッツ・ロートハルト、とグループ・イベントスペシャリストのクリフトフ・グローテが説明を行った。

2018年 自動運転技術センター開設

まず、BMWの自動運転技術開発の歴史を振り返ってみたい。

量産型の自動運転を目指した開発は2006年に始まった。3シリーズをベースとした実験車両でドイツのホッケンハイムサーキットを走行している。公道試験では2011年半ばから高速道路A9でレベル3実証を始めている。

BMW本社があるミュンヘン近郊に2018年、自動運転専門の技術開発センターを開設。
BMW本社があるミュンヘン近郊に2018年、自動運転専門の技術開発センターを開設。

大きな転機となったのは、2014年だ。

自動運転に必要不可欠な高精度な三次元地図など、デジタルデータ技術開発を行うドイツのHERE(ヒア)を、スウェーデンのノキアから、BMWはダイムラーとフォルクスワーゲンと共同で買収した。

その後、アメリカの大手半導体メーカーであるインテルもHEREに出資。さらに、インテルが画像認識に関して世界最先端の技術を誇るイスラエルのベンチャー企業、モービルアイを買収するといった自動運転技術に関する主導権争いが過熱した。

こうした動きの中で、BMWの自動運転開発は一気にスピードアップした。

前出のグローテによると、BMW本社があるミュンヘン近郊に2018年、自動運転専門の技術開発センターを開設。インテル、モービルアイ、そして他の自動車メーカーなどの技術者が総勢で約1800人勤務しているという。

では、レベル4自動運転のBMWはいつ発売されるのだろうか?

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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