テスラ・モデル3 詳細データテスト 静粛性と質感は向上 やはり硬めの乗り心地 使い勝手はやや後退

公開 : 2024.03.16 20:25  更新 : 2024.03.26 20:35

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

テスラのハンドリングは、どことなくミドシップスーパーカー的だと言われてきた。おそらく、テスラの最初のクルマがロータス・エリーゼのシャシーを応用した2008年のロードスターだったことを思えば、これは予想できることだろう。

クイックなステアリングと、トラベルが短く硬めのスプリングは、モデル3に、BMW i4にはないような、方向転換の敏感さをもたらす。ドライバーが慣れるには少し間がいるものの、低速でも楽しく一体感が得られる。

ステアリングはダイレクトだが、特別に夢中になれるものではない。ミドシップ的でバランスはいいが、電子制御が介入しすぎる。
ステアリングはダイレクトだが、特別に夢中になれるものではない。ミドシップ的でバランスはいいが、電子制御が介入しすぎる。    MAX EDLESTON

もちろん、モデル3の重量はフェラーリパガーニランボルギーニとは違う。そして、その質量の大部分を隠せたとしても、ほぼすべての動きに影響が感じられる。だから、中立からステアリングを切るや否や前輪がコーナーの路面に食いつき、硬めのサスペンションがロールをうまく抑えても、コーナリングのスタンスが落ち着き、コーナー出口を目指す安定感を得るには少しの間が必要だ。

クイックなステアリングは、驚くほどセンシティブで、さまざまなドライバーズエイドがなければ、高速道路でくしゃみしただけで車線変更してしまいそうなほどだ。それでいて、コンフォートモードでもスポーツモードでも、フィードバックはきわめて小さい。

そのためモデル3は、フロントがガッチリ路面を捉えてターンインし、少しスロットルを抜けば、重たいコンポーネンツが振られるように曲がっていく。この効果はRWDモデルのほうが強く出るが、4WDモデルも含めたどちらも、タイミングよくコーナリング中にスロットルを戻せば、走行ラインを整えることができる。これもスーパーカー的だ。

残念なのは、ESCがかなり介入してくるチューニングで、切り替えができないこと。元来、バランスのいいクルマなのだから、システムにはもっと寛容さがほしい。

操縦系からのフィールも、本当に生き生きしたスポーツサルーンたらしめる究極のボディコントロールもないが、電子制御の安全ネットが、スリップを検知した途端にスロットルによるアジャスト性を打ち消してしまう。BMW i4 eドライブ40は、もっとバランスがよく、従順なEVセダンだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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