養子に迎えたフォルクスワーゲン ポルシェ944 成熟した魅力 MGBに代わる1台を選ぶ(6)

公開 : 2025.01.19 17:46

積極的に運転するほど、輝きが増す

右足へ力を込めると、想像以上の能力へ改めて驚く。ピレリP7タイヤは前が205/55、後ろが225/50と太くないが、しっかり路面を掴み、現代のモデルの多くを凌駕するコーナリングスピードを叶えている。

ステアリングだけでなく、アクセルとブレーキの反応は高精度。適度な重みがあり、丁寧な操作を自然に導く。ギア比はロングで、レスポンシブな4気筒エンジンをしっかり味わわせてくれる。

ポルシェ944(1982〜1992年/英国仕様)
ポルシェ944(1982〜1992年/英国仕様)

積極的に運転するほど、輝きが増していく。シャープでエネルギッシュに転じていく。ラップタイムを削る時、パワフルなだけでなく、ライトウエイトであることの重要性を実感する。

早朝の気ままなドライブから、サーキットでの特別な走行会まで、944は特にチューニングを変えずに許容するはず。普段のお買い物も。

リアシートは+2程度の広さだが、フロントシートの座り心地は良好。荷室は広く、長距離旅行にも問題ない。ワイパーはしっかり機能し、ヘッドライトはMGBより明るい。ベンチレーション機能も安定している。スポーツカーとして、見逃しがちな部分だろう。

メイヘッド親子は、この944で南フランスでのバカンスを何度も楽しんでいるという。グレートブリテン島北部のスコットランドも、最近訪れたとか。

日々の通勤からアルプス山脈への大旅行まで

最近の有能な944は、古いポルシェとして価格が上昇傾向にある。250psを発揮する944 ターボは、2万ポンド(約390万円)以上を用意しなければ商談は難しい。進化版となる究極の968 クラブスポーツは、3万ポンド(約585万円)以上が必要になる。

3.0L 16バルブエンジンの944 S2がスイートスポットといえるが、小径ホイールを履いた前期の8バルブエンジンも充分魅力的。古いスポーツカーでありながら、これなら5000ポンド(約98万円)前後から英国では探せる。

ポルシェ944(1982〜1992年/英国仕様)
ポルシェ944(1982〜1992年/英国仕様)

ボディは、クーペだけでなくコンバーチブルも選べる。現代のサルーンに劣らないほど、走行時の洗練度は高い。英国では、熱心なオーナーによるコミュニティが形成されている。交換部品は911より遥かに安く、入手しやすい。

944は、数10万km走った例も珍しくない。混雑したロンドンへの通勤から、アルプス山脈を目指した大旅行まで難なくこなす、すべての季節に対応したスポーツカーだ。この魅力へ更に多くの人が気付く前に、選んでみるのも悪くないだろう。

編集部によるマニア度スコア

コストパフォーマンス:4/5
メンテナンス性:4/5
修理部品の入手性:4/5
実用性・使いやすさ:5/5
運転体験の魅力:4/5
クルマ好きの話題性:3/5
合計:24/30

ポルシェ944(1982〜1992年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万8234ポンド(新車時)/1万ポンド(約195万円/現在)以下
生産数:16万3820台(944合計)
最高速度:218km/h
0-97km/h加速:8.2秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1274kg
パワートレイン:直列4気筒2479cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:165ps/5800rpm
最大トルク:20.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:5速マニュアル/3速オートマティック(後輪駆動)

ポルシェ944を推すアーロン・マッケイ
ポルシェ944を推すアーロン・マッケイ

記事に関わった人々

  • 執筆

    デイモン・コグマン

    Damon Cogman

    英国編集部ライター
  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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