レス・イズ・モアは電動にも ポルシェ・マカン 4Sエレクトリックへ試乗 期待通りに優秀

公開 : 2025.03.20 19:05

後輪駆動のマカンの操縦性は一層クリア

マカン 4Sは、グリップ力やスタビリティで、マカン 4を僅かに凌駕する。乗車には、新開発のツインバルブダンパーもセットになるエアサスペンションと、後輪操舵システム、PTV+が組まれ、見事な操縦性と姿勢制御を実現していた。

もっとも、この有無に関わらず、グリップのバランスは秀抜。ポルシェへ期待する通り、2.3t以上の車重を感じさせない、落ち着いた回頭性を味わえる。マカン 4でも、アクセルペダルの加減でコーナリングラインの調整はできる。

ポルシェ・マカン・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・マカン・エレクトリック(英国仕様)

シングルモーターのマカンでさえ、颯爽とコーナリングし、身のこなしは不満ない。動力性能は一般道との親和性が高く、後輪駆動ということで操縦性は一層クリア。筆者なら、あえてこちらを選ぶかもしれない。

マカン・エレクトリックの英国価格は、6万7200ポンド(約1310万円)から。4Sでは、7万5400ポンド(約1470万円)へ上昇する。同クラスの中では高価な側にあるといえ、エンジン版との差も大きい。

駆動用バッテリーの容量は共通だから、より長い航続距離を求めるなら、素のマカンがベスト。ちなみに、冬場に試乗したマカン 4の電費は、4.6km/kWh。Q6 e-トロンと同等の効率ながら、クラスをリードする性能とはいえない。

動的な優位性はエンジン時代ほど高くない

期待通り、総合的に上々な仕上がりにあるマカン・エレクトリック。電動パワートレインの特徴は薄味ながら、充足度の高い走りを日常的に享受できる。ただし、動的な優位性はエンジン時代ほど高くはないだろう。タイカンとは違って。

1番お手頃なマカンでもスポーティな走りで、従来からのブランド・ファンを喜ばせられるはず。そのレス・イズ・モアという哲学も、共感を得るものといえる。

ポルシェ・マカン・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・マカン・エレクトリック(英国仕様)

BMW iX3やQ6 e-トロンと比較し、ベンチマークを設定する高水準にあるとは表現しにくい。だが、バランスとまとまりに優れた操縦性、締りのある姿勢制御、感触が豊かで正確なステアリングなど、ポルシェらしい個性はしっかり宿している。

◯:最もお手頃なシングルモーターのマカンが、最も走りは好印象 上質で洗練されたインテリア 急速充電の能力が高い
△:エンジン時代ほど、動的な訴求力は高くない 低速域でややゴツゴツした乗り心地

ポルシェ・マカン 4Sエレクトリック(英国仕様)のスペック

英国価格:7万5400ポンド(約1470万円)
全長:4784mm
全幅:1923mm
全高:1622mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:511-606km
電費:4.8-5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2345kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:95.0kWh
急速充電能力:270kW
最高出力:517ps(ローンチコントロール時)
最大トルク:83.4kg-m(ローンチコントロール時)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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