まるで映画の主人公 マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレへ試乗 妖艶な後ろ姿に惚れる

公開 : 2025.03.31 19:05

魅力的なオープンエア・ドライブを実現

動力性能は、まったく不満なし。フェラーリ296 GTBと同等の鋭さでダッシュする。それでいて、穏やかに走ることも苦手ではない。エアサスペンションと四輪駆動で、長距離を安楽・高速にこなせる。

アクセルペダルのレスポンスは、もう少し鋭くても良いかもしれない。特に、穏やかなドライブモード時は。それでも、右足を深く傾ければ驚異的な速さに身を置ける。

マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)

変速はないから、加速は終始シームレス。グランカブリオの、ラグジュアリーな雰囲気とよく似合う。自然の音風景を楽しみながら、ゆったり流すのが気持ち良い。V6エンジンのサウンドが聞こえれば、また違った喜びだとは思うが。

筆者は電気モーターとガソリンエンジン、2種類のパワートレインを用意した、マセラティを高く評価したい。どちらも、魅力的なオープンエア・ドライブを実現している。

ブレーキペダルの感触は素晴らしい。ストロークは短めで、市街地でも峠道でも、制動力を調整しやすい。回生ブレーキは、4段階から調整可能。完全な惰性走行から、ほぼワンペダルドライブまで、変化の幅も広いスグレモノだ。

操縦性や乗り心地は、車重を実感させるもの。低速域では細かな揺れなどを吸収しきれず、高速域ではカーブでのボディロールが小さくない。エアサスはドライブモードと独立して調整できるが、目立って改善はされない。

ステアリングホイールは軽め。滑らかに反応するものの、フィードバックは濃くない。カーブで負荷が増大すると、手応えが突然薄くなる印象があった。

映画の主人公になったようなクルージング

スポーツ・モードやコルサ・モードを選ぶと、ステアリングホイールは重くなる。レスポンスもタイトになり、コーナリングには落ち着きが増すものの、確かな一体感までは得られない。遊び心をくすぐるような、シャシーとはいいにくいだろう。

4シーターのコンバーチブルとして、気張らずに走るのが望ましい。滅法パワフルでも。

マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)
マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)

英国価格は、18万5610ポンド(約3749万円)。ポルシェタイカンを買えて、お釣りが戻る金額だから、高額であることは間違いない。数年後の残存価値も、そこまで高くはないはず。

航続距離はカタログ値で449km。長距離旅行では、こまめな充電休憩が必要になる。ガソリン代は必要ないが、約3万ポンド(約585万円)安いV6エンジンのグランカブリオ・トロフェオとどちらを選ぶべきか、じっくり考えた方が良いだろう。

同乗者を抜群の速さで驚愕させ、夢見心地なオープンエアドライブでも魅了する、クラシカルなスタイリングのコンバーチブルを検討中? グランカブリオ・フォルゴーレは、ご希望に叶った1台になるはず。

タイカンのようなシリアスな運転体験や、バッテリーEVとしての能力も重視するなら、期待には応えられないかもしれない。それでも、映画の主人公になったようなクルージングは、この上なく魅力的。妖艶な後ろ姿にも、惚れてしまう。

◯:クラシカルでエレガントなスタイリング 急速充電の速さ 高速道路での快適性
△:純粋なドライバーズカーとは呼べない 驚くような価格 短めの航続距離

マセラティ・グランカブリオ・フォルゴーレ(英国仕様)のスペック

英国価格:18万5610ポンド(約3749万円)
全長:4959mm
全幅:1957mm
全高:1353mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:2.8秒
航続距離:449km
電費:4.1-4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2415kg
パワートレイン:トリプル永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:83.0kWh(実容量)
急速充電能力:270kW
最高出力:761ps
最大トルク:137.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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