VW 400馬力のインホイールモーター搭載『ID.2 R』を計画中 四輪駆動ホットハッチ

公開 : 2025.06.20 07:45

フォルクスワーゲンは、車輪にモーターを内蔵するインホイールモーター技術を使った高性能EVの開発を検討しています。コンパクトな車体で、400ps以上の出力と四輪駆動を実現できる可能性もあります。

後輪にモーター2基を内蔵?

フォルクスワーゲンは、新型の高性能EV『ID.2 R』の導入を検討している。車輪に電気モーターを内蔵するインホイールモーター技術を、ブランドとして初めて採用する可能性がある。

ID.2 Rは、ハブモーターの性能とトルクベクタリングの可能性を検証する計画の一環として開発されていると言われている。市販化が認められれば、既に発表されているID.2 GTIの上位モデルとして位置付けられるだろう。

小型EVにも高性能の『R』モデルが導入される可能性がある。(画像は現行型ゴルフR)
小型EVにも高性能の『R』モデルが導入される可能性がある。(画像は現行型ゴルフR)

検討中のドライブトレインは、GTIと同じフロント搭載の電気モーターとパワーエレクトロニクスはそのままに、後輪に2基の独立制御式ハブモーターを追加するというものだ。これにより、荷室スペースを犠牲にすることなく、性能向上と四輪駆動化を実現する。

フォルクスワーゲンの関係者の話では、ID.2は2026年にデビューし、そのクロスオーバー版のID.2 Xは2027年に発売予定だという。

ドイツのヴォルフスブルク本社の情報筋によると、高性能のRモデルは、バルカン半島に拠点を置く軽量・高出力インホイールモーターシステム専門のパートナー企業の協力を得て開発中とのことだ。

ドライバーの操作などを予測するトルク配分、ブレーキベースのヨーコントロール、ダイナミックなドライブモードを組み合わせながら、従来のデュアルモーターシステムのような重量増やコストを伴わずに、高い性能と俊敏性を実現できるとされている。

ただし、インホイールモーターではなく従来型のデュアルモーター方式を採用したとしても、ID.2の『MEBプラス』プラットフォームにリアモーターを追加するために高いコストはかからないという話もある。

前輪駆動のID.2 GTIの最高出力が290psであることから、ID.2 Rは計3基のモーターから400ps以上を発揮すると予想されている。

現行EVを上回るハイパフォーマンス

フォルクスワーゲンの高性能モデルの開発を担うR部門は、ID.2 Rで重量増加を最小限に抑えつつ、四輪駆動モデルに期待されるトラクションと加速性能を目指している。そのため、軽量なインホイールモーター技術の実験が行われている。

目標は、ID.3 GTXのような現行の高性能EVと同等、あるいはそれ以上の性能とハンドリングを、よりコンパクトなサイズと手頃な価格を実現することだ。

フォルクスワーゲンの次期ID.2 GTIのコンセントモデル『ID.GTI』
フォルクスワーゲンの次期ID.2 GTIのコンセントモデル『ID.GTI』

R部門の関係者は、ID.2 Rは専用のスタイリングとシャシーのチューニング、そして専用のインテリア要素が採用される可能性があるとほのめかしている。公式には確認されていないが、2012年登場のホットハッチ、ポロR WRCの精神的な後継車になると見られている。

他のモデルへの影響も大きい。インホイールモーター技術を使えば、後輪駆動コンポーネントを後輪内に収め、パッケージ面での妥協もなく四輪駆動化することができる。これにより、クロスオーバーのID.2 Xが、今後のデュアルモーター搭載のルノー4フィアット・グランデ・パンダのような小型オフローダーとして展開される可能性も見えてくる。

また、プラットフォーム共有の効率化にも寄与し、単一のアーキテクチャー上で前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動モデルを最小限のハードウェア変更で製造できるようになるとされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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