システム総合650ps スワンネック&ダックテールの超速マシン ヒョンデ・アイオニック6 N(1) 

公開 : 2026.03.03 18:05

アイオニック5 N譲りの650psパワートレインを得た6 N ワイドフェンダーにスワンネック・ウイング 非常にリアルな疑似変速 没入感を高める人工音 直接的ライバル不在 UK編集部が試乗

アイオニック5 N譲りの電動パワートレイン

ヒョンデの高性能部門は、「N」の展開へ意欲的。アイオニック6 Nの構想を、だいぶ前から練っていたらしい。2022年のコンセプトカー、RN22eはその前触れに違いなかった。筆者が市販化を尋ねると、「もしかしたら」と担当者が答えた記憶がある。

アイオニック6 Nは、フェイスリフトを受けた電動サルーン、アイオニック6をベースにする。だがシステム総合650psの高度なパワートレインは、電動ホットハッチのアイオニック5 N譲りにある。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

プラットフォームは、電圧800Vに対応したE-GMP。駆動用バッテリーは80.0kWhの容量で、前に238ps、後ろに412psの駆動用モーターが載り、電子制御LSDが組まれる。ひと回り大きいサルーン向けに、パワーアップの可能性もあったはずだが。

シャシーでは、5 Nと異なる新しいダンパーが組まれ、ブッシュは強化。メニューは軽いが、サスペンションの動的特性やステアリングの精度、シャシー剛性なども通常の6から見直された。荷室の奥には、オレンジ色の補強パイプが構えている。

ワイドフェンダーにスワンネック・ウイング

スタイリングは、アイオニック5 N以上にしっかり差別化。フェンダーラインは拡幅され、フロントバンパーの下にはスプリッターが突き出ている。リアには、ダックテール状のスポイラーと、スワンネックの大きなリアウイングが載っている。

ホイールは20インチ。タイヤは、新設計されたピレリ Pゼロを履く。空気抵抗を示すCd値は、5 Nが0.31なのに対し、車高が低いことで6 Nは0.27と小さい。電費に有利だ。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

フェイスリフトを受けた通常のアイオニック6と同様に、ヘッドライトはより精悍に。従来の目つきも嫌いではなかったが、こちらの方が高性能サルーンだという主張が強い。

試乗車のドアミラーは、細身のカメラと、ダッシュボード両端のモニターが担っていた。ヒョンデの技術は他メーカーより優れ、確認しやすいとはいえ、英国仕様では従来的な「鏡」になる可能性が高い。

低くスポーティな運転姿勢

インテリアは、フェイスリフトで高級感が向上。ドアの内張りは柔らかさが増し、センターコンソールの造形も新しい。ワイヤレス充電パッドの手前には、充電後にスマホを立てておける溝があり、カーブで滑り回るのを防げる。

サイドボルスターがしっかりしたバケットシートは、アイオニック5 Nと同じアイテム。着座位置が低く、スポーティな運転姿勢へ落ち着ける。通常の6では、身長の高い大人は天井が近く感じられたが、それも改善できている。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

比較すれば、エンジンで走るBMW M3より座面は高い。それでも、違和感を感じるほど高いわけでもない。シートは横方向のサポート性に優れるうえ、クッションは肉厚で、座り心地が良いのもうれしい。

タッチモニターの操作性は良好。後席でも大人は快適に過ごせ、荷室も広く、実用性は高い。後席の背もたれを倒せば、トランクスルーで尺のあるパイプや板などを積める。オレンジ色のストラットブレースが斜めに走り、長い箱物は載せられないけれど。

気になる走りの印象とスペックは、ヒョンデ・アイオニック6 N(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヒョンデ・アイオニック6 Nの前後関係

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