擬似的エンジン音はまるで古いビデオゲーム それでも高い没入感 ヒョンデ・アイオニック6 N(2) 直接的ライバルは不在

公開 : 2026.03.03 18:10

アイオニック5 N譲りの650psパワートレインを得た6 N ワイドフェンダーにスワンネック・ウイング 非常にリアルな疑似変速 没入感を高める人工音 直接的ライバル不在 UK編集部が試乗

パワートレインもドリフト具合も任意に調整可能

ヒョンデアイオニック5 Nの高評価を知っていれば、6 Nでもすぐに発進したくなるはず。でも息を整えて、まずはメニューを掘り下げてみよう。もちろん、デフォルトのコンフォート・モードで出発しても、問題があるわけではないが。

ワイドなタッチモニターへ触れれば、パワートレインに電子制御LSD、スタビリティ・コントロール、サスペンション、人工のアクティブサウンドなどへ、様々な設定が設けられているのがわかる。前後のトルク割合を、変更することもできる。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

ドリフト・オプティマイザーの項目へ進めば、ドリフトのしやすさや、ドリフトアングル、ホイールスピンの量を個別に調整可能。今回は公道のみの試乗だったため、深掘りは控えておいた。

非常にリアルな8速疑似変速

電動パワートレインは、アイオニック5 Nから譲り受けたものだが、6 Nでは大幅に進化していることがわかる。5 Nを有名にした、擬似的な8速ATの変速機能は、ギア比がショートになり、人工サウンドも新しい。異なる個性の醸成に成功している。

変速時の反応や挙動は、非常にリアル。シフトアップが遅れるとレブリミッターへ当たり、8速のまま50km/hから加速しようとすると、息苦しそうになる。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

擬似的なエンジン音はV6を模したものへ近く、音質は古いビデオゲームのようではある。とはいえ、エンジン音を直接的に再現したものとも異なり、デジタル・カバーのような響きで筆者は嫌いではなかった。しっかり、没入感を高めている。

ステアリングホイール上のボタンで、疑似変速や人工音は簡単にオン/オフできる。必要なら、静かで滑らかな、バッテリーEVらしい走りにも浸れる。

現実的な航続距離は480km前後

乗り心地は、5 Nから大幅に向上した。細かな揺れが見事にいなされ、快適性は段違い。同時に引き締まった姿勢制御で、スポーツサルーンであることも滲ませる。確かに硬めながら、落ち着きに欠くほどではなく、普段使いをためらうことはないだろう。

ステアリングは、電動アシスト特有の癖が従来より抑えられた。より軽く回せ、反応は鋭く滑らかで、手のひらへのフィードバックも若干増している。BMW M3と比較できるレベルにあり、フロントタイヤの挙動を充分感じ取れる。

ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック6 N(欧州仕様)

5 Nと異なり、リアアクスルの挙動は若干シビア。テールスライドの量を、濡れた路面で細かく調整することは、比べると少し難しく思えた。

電費は、今回の平均で5.3km/kWh。大胆なボディキットをまとった、スピード重視のサルーンとしては充分に褒められる。現実的な航続距離は480km前後と不満なく、急速充電も最大で240kWと速い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヒョンデ・アイオニック6 Nの前後関係

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