【現役デザイナーの眼:新型ホンダ・プレリュード】SUV人気の中であえてスペシャルティカー!開発コンセプトの一気通貫に感銘

公開 : 2025.07.31 11:00

開放感と包まれ感が同居されたインテリア

インテリアデザインのテーマは『GLIDING COCKPIT』ということで、こちらもグライダーを意識したデザインになっています。

座ってみるとグライダーのキャノビー感と言いますか、視界の良さが感じられました。物理的な良さというよりも、整理されたデザインのおかげでストレスのないドライビングが出来そうな印象です。

整理されたデザインで、ストレスのないドライビングが出来そうな室内。
整理されたデザインで、ストレスのないドライビングが出来そうな室内。    平井大介

担当デザイナーに伺ったところ、視界の追求でAピラー付け根のフロントガラスセラミック(外周の黒色部)の角Rまでこだわったそうです。このあたりは様々な制約で自由度が少ないと想像出来ますが、ここにものづくりの『こだわり』が感じられました。

また、室内から見てドアトリムの流れがフロントフェンダーまでシームレスに繋がっている印象もあり、これらのおかげで整理された空間になっているのだと感じます。

インパネはトレンドである横基調のデザインなのですが、実は中身が他車種と共用ということで、レイアウトの自由度はなかったそうです。それでもスペシャルティカーに相応しい質感になるように各部の構成、断面からステッチに至るまで拘っているのが伝わりました。

特にインパネの中段やセンターコンソール、ドアアームレストに表皮を巻いているので包まれ感があり、開放感と同時に安心感もある空間に仕上がっています。

現在、世界の自動車市場はご承知の通りSUVが一番の人気であり、クーペは縮小しています。そのような市場の中で、敢えてプレリュードを復活させるのはチャレンジングなことですが、近年はコモディティー的な商品が多いホンダにとって、上手くいけば最高の広告塔になりうるクルマだと思いました。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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