創業者一族が語る「家族経営」にこだわる理由 122年の歴史、フォード会長独占インタビュー

公開 : 2025.08.12 06:45

不調の欧州事業と電動化について

数え切れないほどのインタビューを受けてきたビル氏は、記者よりも次の質問を予測できるほど経験豊富なので、「欧州へのコミットメント」に関する回答も十分に用意している。フォードは現在、欧州での自動車販売があまり好調ではないが、筆者がそれを口にする前に、彼は答え始めた。

同社は今でも欧州を愛しているのだろうか? 今後も欧州での事業を展開していくのだろうか? 昔のような素晴らしいクルマが再び登場することはあるのだろうか?

『トルネオ』などの商用車シリーズは欧州で好調だ。一方、乗用車は伸び悩む。
『トルネオ』などの商用車シリーズは欧州で好調だ。一方、乗用車は伸び悩む。

「もちろん」と彼は言い、商用車の販売台数は増加していると指摘した。「乗用車に関しては、必要なほど堅調ではないことを認識しています」

「しかし、ニックが言うように、わたし達は現在、将来の戦略を策定中です。ただ、皆さんが良い意味で驚くようなことになると思います」

ビル氏は大気質の改善と燃費の重要性を認識し、世間の環境意識が高まるよりも早く、環境保護主義者として評価されてきた。彼は、20年前に発売した『エスケープ・ハイブリッド』を、自身の最大の功績の1つとして挙げている。このエスケープと、バッテリー駆動の『フォーカス』は、彼自身の自動車コレクションに含まれている。

電動車への移行も実現するだろうと確信している。実際、すでに進行中だ。「問題なのは、規制当局が顧客のニーズを先取りしすぎたことです」

「それは決して良い状況とは言えません。将来、交通手段の電動化は非常に重要な役割を果たすでしょうが、唯一の道ではありません。ICE(内燃機関)は徐々に縮小されると思いますが、消えることはないでしょう。今後どうなるかは地域によって異なります」

「フォードでは、これらのクリーンテクノロジーすべてに投資してきました。その点については満足しています。しかし、最終的には顧客次第です。顧客は欲しいものを求める。それを提供するのがわたし達の仕事です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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